夏キャンプの熱中症対策は、出かける前に「暑さ指数(WBGT)」を見ることから始まります。環境省によると、暑さ指数が28(厳重警戒)を超えると熱中症の患者が著しく増えます。31以上は「危険」です。
現地では、のどが渇く前の水分補給、日陰とこまめな休憩、体を冷やす道具。具合が悪い人が出たら、涼しい所へ移して体を冷やし、自力で水が飲めない・受け答えがおかしいときはためらわず救急車を呼ぶ。この記事は、環境省と厚生労働省の資料をもとにまとめています。
体調や持病によって対応は変わります。治療中で水分のとり方を医師から指示されている人は、その指示に従ってください。出どころは記事の最後にまとめています。
目次
出かける前:暑さ指数(WBGT)を確かめる
暑さ指数は、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標です。単位は気温と同じ℃ですが、値は気温とは違います(環境省「暑さ指数とは?」)。
環境省のサイトに載っている日本生気象学会の「日常生活に関する指針」を、短くまとめると次のとおりです。
- 31以上「危険」:どんな生活活動でも熱中症が起こりうる。出歩くのはなるべくやめ、涼しい屋内へ
- 28以上31未満「厳重警戒」:出かけるなら炎天下を避ける
- 25以上28未満「警戒」:体を動かす作業では、決まった間隔でしっかり休む
- 25未満「注意」:ふだんは危険は小さいが、激しい運動や重い作業では起こりうる
テントの設営や薪割り、子どもの外遊びは「運動」に近い動きです。同じページにある日本スポーツ協会の運動の指針は、次のような目安です。
- 厳重警戒(28以上31未満):激しい運動は中止。持久走のように体温が上がりやすい運動は避け、10〜20分ごとに休んで水分と塩分をとる。暑さに弱い人(体力の低い人、暑さに慣れていない人など)は運動を軽くするか、やめる
- 31以上:運動は原則中止。特別な場合でなければやめ、特に子どもは中止する
熱中症警戒アラートと特別警戒アラート
- 熱中症警戒アラート:府県予報区などの中のいずれかの地点で、翌日・当日の日最高暑さ指数が33(予測値)に達する場合に発表(環境省「熱中症警戒情報とは」)
- 熱中症特別警戒アラート:都道府県内のすべての地点で、翌日の日最高暑さ指数が35(予測値)に達する場合などに発表(環境省「熱中症特別警戒情報とは」)
どちらのときも、環境省は、身近な場所の暑さ指数を確かめたうえで、涼しい環境以外では原則運動を行わないなどの対策を求めています。厚生労働省のリーフレットも、警戒アラートの発表時は外出をなるべく控え、暑さを避けるよう書いています。発表の出ている日に行くかどうかは、日程を変えることも含めて考えてください。
キャンプ場の暑さ指数はその場所の環境で大きく変わります。環境省は、全国841地点の暑さ指数を同サイトで公開し、身近な場所の値は黒球の付いた測定機器で測ることを勧めています。
体を暑さに慣らしておく
環境省は予防として、無理をせず徐々に体を暑さに慣らすこと、体調の悪いときは特に注意することを挙げています(環境省「熱中症の予防方法と対処方法」)。暑くなりはじめの時期や、寝不足・体調がすぐれない日は、予定を軽くしておきます。
現地で:厚生労働省のリーフレットにある予防
厚生労働省の「熱中症予防のために」から、キャンプでできることを並べます。
- のどの渇きを感じていなくても、こまめに水分を補給する
- 天気のよい日は日陰を使い、こまめに休憩する:タープの下にリビングを作る。設営のような力仕事は、ひと区切りごとに休む
- 日傘や帽子を使う
- 吸湿性・速乾性のある、通気性のよい服を着る
- 保冷剤・氷・冷たいタオルなどで体を冷やす
水筒は、真空二重構造のものなら真夏の屋外でも冷たさを保ちやすい一方、何日も置くと室温に近づきます。選び方と注意はキャンプの水筒とマグカップへ。日陰を作るタープの例はDOD「いつかのタープSUMI」の記事、涼しいキャンプ場の探し方はキャンプ場の選び方へ。
用意しておくもの
上の予防と応急処置に使うものです。現地ですぐ買えるとは限らないので、家から持っていきます。
- 水分(飲み物と、それを冷やしておくクーラーボックス)。保冷のコツはクーラーボックスの保冷を長持ちさせるコツ、真空断熱のクーラーボックスの例はキャプテンスタッグの真空断熱クーラーボックスの記事へ
- 経口補水液(具合が悪くなったときの応急処置用)
- 保冷剤・氷・タオル(首の周り・脇の下・脚の付け根を冷やす)
- 帽子・日傘、通気性のよい服
- 日陰を作るタープ
- 暑さ指数を測る機器(黒球の付いたもの)。環境省が身近な場所の測定に勧めているもの
具合が悪くなったら:応急処置
厚生労働省のリーフレットは、熱中症の症状を次のように挙げています。
- はじめ:めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、筋肉のこむら返り
- 症状がすすむと:頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下
はじめの段階で気づいたら、すぐに休ませてください。
熱中症が疑われる人を見かけたときの主な応急処置は、次のとおりです。
- エアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移す
- 服をゆるめて、首のまわり・脇の下・脚の付け根などを冷やす
- 自分で飲めるなら、経口補水液を飲ませる
自分で水を飲めない、呼びかけへの受け答えがおかしい、というときは、迷わず救急車を呼びます。応急処置をしても症状がよくならないときは、医療機関を受診します。
リーフレットには、経口補水液を一度に大量に飲むとナトリウムのとりすぎになる可能性がある、腎臓・心臓などの病気の治療中で医師から水分のとり方を指示されている場合はその指示に従う、とも書かれています。
キャンプ場は、救急車の到着や病院まで時間がかかることがあります。管理棟の連絡先と、近くの医療機関を、着いたときに確かめておくと慌てずに済みます。
子ども・高齢の人・ペット
厚生労働省のリーフレットによると、子どもは体温を調節する力が育ちきっていないため、高齢の人は暑さやのどの渇きを感じにくく、体の調節の働きも落ちているため、どちらも周りの気配りが要ります。環境省のアラートの呼びかけでも、高齢者や子どもは熱中症になりやすいので、身近な人が見守り・声かけをするよう求めています。
子どもは遊びに夢中になると休まないことがあります。大人の側から休憩と水分補給の時間を決めて声をかけてください。犬連れの暑さ対策は犬連れキャンプの注意点と準備へ。
出発前のチェックリスト
- □ 行き先の暑さ指数の予測と、熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの発表状況を確かめた
- □ 設営や外遊びの時間を、暑い時間帯から外す予定にした
- □ 飲み物とクーラーボックス、保冷剤・氷、タオル
- □ 経口補水液
- □ 帽子・日傘、通気性のよい服、日陰を作るタープ
- □ キャンプ場の管理棟の連絡先と、近くの医療機関を調べた
持ち物全体はファミリーキャンプの持ち物チェックリスト、夏の虫対策は夏キャンプの虫対策へ。
よくある質問
Q1. 気温がそれほど高くなければ大丈夫ですか?
暑さ指数は気温だけでなく、湿度や日射を取り入れた指標です。環境省も、暑さ指数の値は気温とは異なるとしています。気温だけで判断せず、暑さ指数を確かめてください。
Q2. 熱中症警戒アラートが出ている日は行かないほうがいいですか?
環境省は、警戒アラートの発表時は涼しい環境以外では原則運動を行わないなどの対策を、厚生労働省は外出をなるべく控えることを呼びかけています。設営や外遊びは体を動かすので、日程を変えることも含めて考えてください。
Q3. 経口補水液は普段の水分補給にも飲んでいいですか?
厚生労働省のリーフレットでは、経口補水液は熱中症が疑われるときの応急処置として挙げられており、一度に大量に飲むとナトリウムのとりすぎになる可能性があるとしています。持病で水分のとり方を指示されている人は、医師の指示に従ってください。
まとめ
- 出かける前に暑さ指数を確かめる。28を超えると患者が著しく増え、31以上は「危険」
- 警戒アラート(33)・特別警戒アラート(35)が出ていたら、日程を変えることも考える
- のどが渇く前の水分補給、日陰とこまめな休憩、帽子・日傘、通気性のよい服、体を冷やす道具
- 具合が悪い人が出たら、涼しい所へ移し、衣服をゆるめて首・脇・脚の付け根を冷やし、経口補水液。自力で飲めない・応答がおかしいときは救急車
参考にした情報源
- 環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数とは?」
- 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症警戒情報とは」
- 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症特別警戒情報とは」
- 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症の予防方法と対処方法」
- 厚生労働省「熱中症予防のために」(リーフレット・PDF)
2026年10月17日に全体を書き直しました。暑さ指数・アラート・予防・応急処置を環境省と厚生労働省の資料に沿って書き直し、出どころを示せない記述(グッズの価格帯、体験談、季節や地域ごとの比べ方、飲酒と利尿の話など)は外しました。

