キャンプ道具が車に載りきらない、着いたら荷物が崩れている、必要なものが一番奥に埋まっている——出発前の「積載」は、キャンプで地味にいちばん消耗する作業だ。
結論から言うと、積み方のコツは3つに集約できる。①設営の逆順に積む ②重いものを下・前輪寄りに置いて平らな面を作る ③道具をボックス単位にまとめておく。この3つを押さえるだけで、積載時間も現地の探し物も一気に減る。
この記事では、積む順番の具体例(ファミリー/ソロ)、崩れない積み方の原則に加えて、意外と知られていない道路交通法の積載ルールと、真夏の車内に置いてはいけないものまでまとめた。お盆前に読んでおくと荷造りがラクになるはずだ。
目次
キャンプ道具の積み方は「設営の逆順」で決まる
積載で迷子になる人のほとんどは、大きいものから適当に詰めている。そうすると現地で「先に使いたいもの」が奥や下に埋まる。
積み込みの基本は「現地で最初に使うものを、いちばん最後に積む」。つまり設営の手順を逆再生する形で積んでいく。これは複数のアウトドアメディアや自動車メーカーのキャンプ向け解説でも共通して挙げられている考え方だ。
まず設営の順番を書き出してみる
一般的なテント泊の設営は、だいたいこの順番になる。
- グラウンドシート・テント・タープ(+ペグ、ハンマー)
- テーブル・チェア
- 寝袋・マット・コット(テント内へ)
- ランタン・焚き火台・薪
- 調理器具・食器・食材(クーラーボックス)
ということは、積む順番はこの逆。調理器具や食器を奥・下に、テントとペグを手前・上に置けばいい。テントは重いので「下に置きたい」と思いがちだが、最初に降ろすものを下敷きにすると、結局全部出すハメになる。
1泊2日ファミリーキャンプの積み込み順(例)
ミニバンやSUVのラゲッジを想定した、実行しやすい順番がこれだ。
- ①奥・下段:調理器具・食器・小物を入れたコンテナボックス、燃料類(ガス缶は後述の注意あり)。しばらく使わず、上に重さがかかっても平気なもの。
- ②その上:寝袋・マット・着替えなど、軽くて潰れても困らないもの。すき間を埋める緩衝材も兼ねる。
- ③手前・下段:テーブル、チェア。テントの次に使う。
- ④手前・上段:テント、タープ、ペグケース、ハンマー。降ろした瞬間に設営を始められる位置。
- ⑤最後にすき間へ:クーラーボックス。保冷剤の効きを保つため、直射日光が当たらず、エアコンの風が届く後席足元などが望ましい。
クーラーボックスの中身の詰め方や保冷のコツは、クーラーボックスの保冷を長持ちさせる10のコツで詳しく書いているので合わせてどうぞ。
ソロキャンプなら「1箱+1バッグ」に寄せる
ソロの場合、道具が少ないぶん逆に車内で暴れやすい。おすすめはコンテナ1箱+ダッフルバッグ1つ+テント類という3ユニット構成にまとめてしまうこと。ユニット数が少ないほど積み下ろしが速く、忘れ物にも気づきやすい。
これから道具を揃える段階なら、ソロキャンプ道具一式は予算いくら?で予算別の構成をまとめている。最初から「1箱に収まるサイズ」で選ぶと、積載でずっとラクになる。
崩れない積み方の3原則
順番が決まったら、次は積み方そのもの。走行中に荷崩れを起こさないための原則は3つだ。
原則1:重いものは「下」かつ「前寄り」
重いものを上に積むと、カーブやブレーキで簡単に崩れる。さらに、ラゲッジのいちばん後ろ(リアオーバーハング側)に重量物を集中させると、後輪より後ろに荷重がかかって車の挙動が不安定になりやすい。重量物はできるだけ後席の背もたれ寄り、つまり前側に置くのが基本だ。
キャンプ道具で重いのは、水を入れたジャグ、クーラーボックス、焚き火台と薪、ダッチオーブンなどの鋳鉄類。このあたりが「下・前」の指定席になる。
原則2:高さを揃えて「平らな面」を作る
積載がうまい人の車は、下段が板のようにフラットになっている。コンテナボックスを同じ規格・同じ高さで揃えておくと、下段が自然と平面になり、その上に何を載せても安定する。
逆に、形の違うバッグを寄せ集めると、どうやっても凸凹になって上に積めない。収納ボックスは「かっこいいもの」より「サイズが揃うもの」を買うほうが積載では強い。
原則3:すき間は柔らかいもので埋める
すき間が残っていると、その分だけ荷物が動く。寝袋、マット、着替え、タオルといった潰れて困らないものを、あえてすき間に押し込んでいく。緩衝材とスペース活用を兼ねられて一石二鳥だ。
それでも動きそうなら、荷室に渡すタイプのラゲッジネットやベルトで最後に押さえる。とくに後席を倒してフラットにしている場合、前方への荷崩れは乗員の危険に直結するので、高く積んだときほど固定を省略しないこと。
積む前にやると効く「ボックス化」
実は積載でいちばん効くのは、積む技術より積む前の準備だ。細かい道具がバラバラのまま車に来ると、どう積んでもすき間だらけになる。
そこで、道具を用途ごとにボックスへ分けて、それを常設化してしまう。
- キッチンボックス:クッカー、カトラリー、まな板、調味料、洗剤、スポンジ、ゴミ袋
- 火まわりボックス:火ばさみ、着火剤、ライター、耐熱グローブ、灰入れ
- 設営ボックス:ペグ、ハンマー、ロープ、自在金具、補修テープ
- 照明・電源ボックス:ランタン、電池、モバイルバッテリー、延長コード
この状態で家に置いておけば、出発前は「箱を4つ積む」だけになる。忘れ物も激減する。持ち物の全体像を確認したい人は、ファミリーキャンプの持ち物チェックリストを先に見てから箱分けすると早い。
意外と知らない、積載の法律ルール
ここは他の積載記事であまり触れられないが、知らずに違反しているケースがある部分だ。乗用車でも積載の大きさ・方法には道路交通法施行令のルールがある。
長さ・幅は車体の1.2倍まで、高さは地上3.8mまで
2022年5月13日の施行令改正で、自動車の積載制限が緩和された。大阪府警の解説によると、改正後の基準は次のとおり。
- 長さ:自動車の長さ+その長さの10分の2まで(=1.2倍まで)
- 幅:自動車の幅+その幅の10分の2まで(=1.2倍まで)
- 高さ:地上から3.8m(軽自動車・三輪自動車は2.5m)まで
改正前は長さが1.1倍まで、幅は車幅まで(はみ出し不可)だった。カヤックや長尺のポールを積む人には関係する話だが、「1.2倍まで」は無条件ではなく、はみ出す場合には赤い布などの表示や、はみ出し方の制限がある。長物を積む予定があるなら、都道府県警の案内で自分のケースを確認しておきたい。
視界・ナンバー・灯火をふさがない
サイズ以前に大事なのがこれ。荷物を高く積んでルームミラーからの後方視界がまったく取れない状態や、ナンバープレート・ブレーキランプ・ウインカーが隠れる積み方は、それ自体が問題になる。後席まで荷物を積み上げるファミリーキャンプでは普通に起こりうるので、出発前に運転席から後ろを一度見ておこう。
ルーフキャリア・ルーフボックスは「耐荷重」を必ず確認する
載らないぶんを屋根に、というのは合理的だが、ルーフに積んでいい重さは車種ごとに決まっている。キャリア側の耐荷重と、車体側(取扱説明書に記載)の許容荷重の、小さいほうが上限になる。両方を確認せずに積むのは危険だ。
また、屋根に重いものを載せると重心が上がり、横風やカーブでの挙動が変わる。ルーフを使う日は、いつもより速度を落とし、車高が上がっていることを忘れないこと(立体駐車場やドライブスルーでの天井接触は本当に多い)。
夏の積載でとくに注意したいこと:車内は50℃を超える
夏キャンプの積載には、季節特有の落とし穴がある。炎天下に停めた車内は、想像よりはるかに高温になるということだ。
JAFのユーザーテストでは、真夏の炎天下で窓を閉め切った黒色のミニバンの場合、エンジン停止から30分で車内温度が約45℃に達し、その後も上昇して55℃を超えたと報告されている。ダッシュボード上は57.8℃まで上がったという。
これを踏まえると、車に積みっぱなしにしてはいけないものが見えてくる。
- ガス缶(CB缶・OD缶)、スプレー缶、着火剤:高温は破裂の危険がある。缶体には高温になる場所に置かないよう注意書きがあるので、必ず従うこと。車内に置く場合も、ダッシュボードや直射日光の当たる場所は避ける。
- モバイルバッテリー・ポータブル電源:リチウムイオン電池は高温に弱い。多くの製品が保管温度の上限を定めている。
- 食材:クーラーボックスに入れていても、車内が50℃を超える環境では保冷力の消耗が速い。買い出しは現地近くで済ませ、車内での放置時間を短くするのが安全だ。
ガス缶の扱いと夏の保管については、CB缶とOD缶の違いは?シングルバーナーの燃料選びと使い分け・夏の保管まで完全ガイドで詳しくまとめている。
よくある質問
Q. 軽自動車でもファミリーキャンプの道具は積める?
積めるが、道具側を選ぶ必要がある。ポイントは「畳んだときの最長辺」。軽自動車のラゲッジは奥行きが取れないため、収納時に長いテントやタープ、長尺のポールが入るかどうかで積載の可否が決まる。ロースタイルのテーブル・チェアや、分割式のポールを選ぶと一気に楽になる。
Q. 後席を倒してフラットにしたほうが積める?
乗車人数に余裕があるなら有効だ。ただし前述のとおり、後席を倒すと荷物を止めるものが無くなるため、急ブレーキ時に荷物が前方へ飛ぶリスクが上がる。倒す場合ほど、ネットやベルトでの固定を必ずセットで考えること。
Q. 積載時間はどれくらい見ておけばいい?
ボックス化ができていれば、車に積む作業自体は短く済む。むしろ時間がかかるのは「何を持っていくかを決めて、家の中から集める段階」。ここをチェックリストで前日までに終わらせておくと、当日の出発が驚くほどスムーズになる。
Q. 帰りは荷物が増えて載らなくなるのはなぜ?
濡れたテントやタープが膨らむ、ゴミが増える、薪や燃料の残りが中途半端な形になる——このあたりが原因だ。大きめのゴミ袋と、濡れ物用の防水バッグを最初から1つ積んでおくと、帰りの積載が破綻しにくい。撤収時に「行きと同じ形に戻す」ことにこだわりすぎないのもコツだ。
まとめ
キャンプ道具の積み方は、センスではなく手順の問題だ。
- 設営の逆順に積む。最初に使うテントは手前・上。
- 重いものは下・前寄り、高さを揃えて平らな面を作り、すき間は柔らかいもので埋める。
- 道具をボックス単位で常設化しておくと、積載も忘れ物対策も一気に片付く。
- 長さ・幅は車体の1.2倍まで、高さは地上3.8mまで。視界・ナンバー・灯火をふさがない。
- ルーフはキャリアと車体、両方の耐荷重の小さいほうが上限。重心が上がることも忘れずに。
- 真夏の車内は50℃超。ガス缶・電池・食材の置きっぱなしは避ける。
積載が決まると、現地に着いてからの動きまで軽くなる。今シーズンの残りを気持ちよく走るために、一度「自分の車の指定席」を決めてしまおう。
参考にした情報源
- 大阪府警察「令和4年5月13日から施行 変わります!自動車の積載制限」
- JAF「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
- Hondaキャンプ「どのクルマでも使える基本テクニック」
- BE-PAL「スマートに積み、スムーズにおろす!キャンプギア車載術の基本&マル秘テクニック17」


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