キャンプでは、冷たさ・温かさを保つのは真空二重構造の水筒、サイトで飲む・温めるのはマグやシェラカップと分けると迷いません。埼玉県消費生活支援センターが真夏の屋上(最高気温36.4℃)で試したところ、約3℃の冷水は、ステンレス製水筒では6時間後も8℃以下でした。保温・保冷機能のないアルミボトルは、1時間後に28.0℃まで上がりました。
ただし水筒には、入れてはいけない飲み物と、してはいけない手入れがあります。この記事では、同センターのテスト報告(2026年3月)と、メーカー公式の説明に沿ってまとめます。
出どころは記事の最後にまとめています。
目次
水筒の選び方
「保温効力」「保冷効力」の数字の読み方
ステンレス製の水筒は家庭用品品質表示法の対象で、保温効力・保冷効力の表示が義務付けられています。埼玉県の報告によると、測り方の概略は次のとおりです(埼玉県消費生活支援センター「ステンレス製水筒に関するテスト」)。
- 保温効力:室温20±2℃で沸騰した湯を満量入れ、95±1℃になったときにふたを閉め、6時間後の水温(下限)
- 保冷効力:室温20±2℃で4℃の冷水を満量入れ、4±1℃になったときにふたを閉め、6時間後の水温(上限)
たとえば「保温効力60℃」は、熱湯を入れて6時間置いたあとも60℃以上ある、という意味です。満量で測った数字なので、少なめに入れたときや、真夏の炎天下・真冬の屋外では、同じにはなりません。
何日もはもたない
同じ報告で、約4℃の冷水を入れた8本を室温約25℃に置いたところ、どれも水温が上がり続け、72時間後には室温に近い22.9〜24.4℃になりました。同センターは、時間がたつと中身が傷みやすくなるので、できるだけ早く飲み切るよう勧めています。連泊のときは、毎日入れ替えるつもりで考えてください。
飲み口の4タイプ
報告では、飲み口を「直飲み(スクリュー)」「コップ」「直飲み(ワンタッチ)」「ストロー」の4つに分けています。ストロータイプは保冷専用であることが多く、ストローやワンタッチのタイプは熱い飲み物を禁止している場合がある、と注意しています。温かい飲み物を入れたいなら、コップタイプやスクリューのタイプで「保温効力」が書かれているものを選びます。
容量
暑い日にたくさん飲むなら、大きめを1本にするか、クーラーボックスに予備の飲み物を入れておきます。保冷の段取りはクーラーボックスの保冷を長持ちさせるコツへ。暑い日の水分のとり方はキャンプの熱中症対策にまとめています。
現地の沢の水や湧き水を水筒に汲んで飲む前に、沢の水・湧き水は飲めるかも読んでおいてください。澄んで見えても、そのまま飲めるとは限りません。
水筒に入れてはいけないもの
- 炭酸飲料・ドライアイス:家庭用品品質表示法で、入れてはいけない旨を表示するよう決められています
- 牛乳などの乳飲料・果汁:テスト品8本中7本が禁止。理由は発酵などでふくらみ、破裂するおそれ
- お茶の葉や果肉を含む飲み物:8本中7本が禁止。目詰まりで漏れるおそれ
- みそ汁など塩分を含む飲み物:8本すべてが禁止。サビの原因
- スポーツドリンク:製品によって違い、温めたものだけ禁止、使ったらすぐ水洗い、などの決まりがある
何を禁止しているかは製品ごとに違います。手元の水筒の取扱説明書を確かめてください。
熱いものを入れたとき・落としたとき
- 熱い飲み物を入れたら、傾けたままふたを開け閉めせず、平らにしてゆっくり開ける
- 落としたり強く押されたりしたら、保温・保冷が効いているか、外側が熱く・冷たくなっている所がないか、漏れがないかを確かめ、おかしければ使うのをやめる
同センターの試験では、40cmの高さからの落下や20kgまでの荷重では外観にも性能にも変化はありませんでした。40kgを超える荷重で大きくへこんだものは、へこんだ所から熱が伝わり、熱湯なら60℃を超えてやけどのおそれ、冷水なら結露のおそれがあったとしています。車に積むときは、重い荷物の下敷きにしないようにします。
水筒の手入れ
- 使ったらなるべく早く中身を空にして洗う(においや汚れがつくのを防ぐ)
- 塩素系漂白剤は使わない(テスト品8本すべてが禁止)
- 金属たわし・磨き粉・クレンザーは使わない(8本中7本が禁止)
マグとシェラカップの選び方
火にかけたいなら、シェラカップか「直火で使える」と書かれたマグ
キャプテンスタッグの「こんなに便利なシェラカップを準備しよう」によると、シェラカップは直接火にかけられ、1つで焼く・沸かす・煮るができ、食器や計量カップにもなります。基本はステンレス製で、アルミ製やチタン製の軽いものもあります。同じサイズなら重ねて収納でき、ぴったり収めるなら同じメーカーの同じモデルでそろえるとよい、としています。
火にかけると本体と取っ手が熱くなるので、やけどに注意します。同社の革のハンドルカバーは、つけたまま直火にかけないよう書かれています。
同社のシェラカップは320mlが中心です。楽天市場で探せます。
二重構造(ダブルウォール)のマグは、重ねたまま火にかけない
SOTOのサーモスタック(SOD-520)は、2つのマグを重ねて保温・保冷のダブルウォールマグとして使い、1つずつならストーブで直接加熱できる、という作りです。取扱説明書では、組み合わせた状態(樹脂部品を付けた状態)で加熱しないこと、加熱するときは必ず樹脂部品を外すこと、空焚きをしないこと、電子レンジやオーブンでは使わないことが挙げられています(SOTO サーモスタック 取扱説明書)。
同じ取扱説明書には、石油ストーブや大きな焚き火の上では使わないこと、炎がマグの底面からはみ出さない火力で使うことも書かれています。
二重構造のマグを火にかけてよいかは製品によって違います。取扱説明書に直火で使えると書かれていないものは、火にかけないでください。
チタンは軽い
キャプテンスタッグは、チタンはステンレス鋼の60%の軽さで、熱による変形が少なく、耐久性・耐食性に優れる、と説明しています。荷物を軽くしたいソロキャンプ向きです。
スタイル別の組み合わせ
- ソロ:真空二重構造の水筒1本と、火にかけられるシェラカップ1つ。シェラカップは食器も兼ねる
- ファミリー・グループ:各自の水筒かマグに加えて、冷たい飲み物はクーラーボックスにまとめておく。マグは色で分けると取り違えにくい
- 寒い時期:保温効力の書かれた水筒にお湯を入れておくと、温かい飲み物をすぐ作れる
調理道具はクッカーの選び方、献立はキャンプ飯の簡単レシピ15選、持ち物全体はファミリーキャンプの持ち物チェックリストへ。
買う前のチェックリスト
- □ 保温効力・保冷効力の表示があるか(保冷専用ではないか)
- □ 飲み口のタイプ(熱い飲み物を入れてよいか)
- □ 取扱説明書で、入れてはいけない飲み物と、禁止の手入れを確かめた
- □ マグを火にかけたいなら、直火で使えると書かれているか
- □ 重ねて収納したいなら、同じモデルでそろえるか
よくある質問
Q1. 水筒にスポーツドリンクを入れてもいいですか?
製品によります。埼玉県の報告では、温めたスポーツドリンクを禁止するもの、使ったあとすぐ水洗いするよう書くものがありました。取扱説明書を確かめてください。
Q2. 水筒にスープを入れていいですか?
みそ汁など塩分を含む飲み物は、報告のテスト品8本すべてが禁止していました。スープを持っていくなら、スープを入れてよいと取扱説明書に書かれている容器を使ってください。
Q3. マグとシェラカップ、どちらを先に買えばいいですか?
火にかけたい・食器も兼ねたいならシェラカップ、飲み物を冷めにくくしたいなら保温できるマグです。
まとめ
- 冷たさ・温かさを保つのは真空二重構造の水筒。真夏の屋外でも冷たさを保ちやすいが、何日もはもたない
- 保温効力・保冷効力は、満量で6時間置いたあとの温度
- 炭酸・ドライアイスは入れない。乳飲料・果汁・塩分のある飲み物も多くの製品が禁止
- 塩素系漂白剤・金属たわし・クレンザーは使わない
- 火にかけるならシェラカップか直火可と書かれたマグ。二重構造のまま火にかけない
参考にした情報源
- 埼玉県消費生活支援センター「ステンレス製水筒に関するテスト」(令和8年3月・PDF)
- キャプテンスタッグ「こんなに便利なシェラカップを準備しよう」
- SOTO(新富士バーナー)「サーモスタック SOD-520/クッカーコンボ SOD-521」取扱説明書(PDF)
2026年10月17日に全体を書き直しました。水筒の数字と注意を公的機関のテスト報告に沿って足し、出どころを示せない記述(容量の目安、価格帯、100円ショップの話題、ククサの言い伝え、体験談など)は外しました。

