秋に北海道のキャンプ場へ車で向かうなら、気にしておきたいのが道路に飛び出してくるエゾシカだ。北海道庁が出している数字では、エゾシカが関係する交通事故は2025年の1年で全道6,705件。そのうち約4割が10月と11月に集中している。
この記事では、北海道庁の「エゾシカとの交通事故防止について」と、北海道警察の集計をもとにした発生状況、国土交通省北海道開発局の注意喚起の資料を読んで、いつ・どこで気をつけるか、ぶつかったらどこへ連絡するかをまとめる。
秋のキャンプの日程の決め方は紅葉キャンプはいつ予約する?で扱っている。こちらは、その道中の運転の話だ。
目次
先に結論:秋の北海道でエゾシカに気をつける場面
数字は北海道庁の「エゾシカが関係する交通事故発生状況(PDF)」と「エゾシカとの交通事故防止について」から。
| 見ておくこと | 資料に書いてあること |
|---|---|
| 時期 | 2025年は10〜11月の2か月で2,737件、年間の40.8%(北海道庁の発生状況) |
| 時間帯 | 70%以上が16時から24時の間に起きている(北海道庁) |
| 見かけたとき | 群れで動くので、1頭渡ったあとも2頭目以降に注意(北海道庁) |
| いちばん大事なこと | スピードを落とすこと(北海道開発局の資料) |
| ぶつかったら | 事故は警察(110番)へ。倒れたエゾシカや道路の異状は道路緊急ダイヤル #9910(北海道開発局・国土交通省) |
数字で見る:エゾシカが関係する交通事故
北海道庁が公開している「令和7年(2025年)エゾシカが関係する交通事故発生状況(PDF)」は、北海道警察本部交通部交通企画課の資料をもとにしたものだ。ここから、キャンプの計画に関わる数字を拾う。
年間の件数は増え続けている
2025年の全道の発生件数は6,705件で、前の年より1,245件多い。同じ資料には2013年(平成25年)からの推移の表も載っていて、ここ数年は毎年、前の年を上回っている。
北海道庁のページによると、この件数は届出があったものの数で、2017年(平成29年)からは毎年2,000件を超えている。なお、同じ資料では2025年の死亡事故は0件、人身事故は7件だった。
月で見ると、10月と11月が飛び抜けている
2025年の月別の表では、10月がいちばん多く、次が11月。10〜11月の2か月を合わせると2,737件で、年間の40.8%になる。
北海道庁の「エゾシカとの交通事故防止について」は、10〜11月がエゾシカの繁殖期で動きが活発になること、越冬地への移動の時期とも重なることを、気をつける理由として挙げている。
地域で見ると、全道に広がっている
2025年に件数が多かった振興局は、胆振(1,029件)、釧路(868件)、石狩(846件)の順だった。地域別に見ると、いちばん少ない南部でも564件あり、道東だけの話ではない。
| 地域 | 2025年の件数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 東部(オホーツク・十勝・釧路・根室) | 2,340件 | 34.9% |
| 中部(石狩・胆振・日高) | 2,148件 | 32.0% |
| 北部(空知・上川・留萌・宗谷) | 1,653件 | 24.7% |
| 南部(後志・渡島・檜山) | 564件 | 8.4% |
出典は上と同じ北海道庁の発生状況(PDF)。
エゾシカとの事故を避けるための5つの習性
北海道庁のページは、事故を防ぐにはエゾシカの生態や習性を知ることが大切だとして、次の5つを挙げている。
1. 早朝と夕方に動く
活動のピークは日の出と日没の前後。同じページは、出てくる機会が増えるうえに、あたりが暗くて気づきにくく、通勤や帰りの車も多い時間帯だと書いている。
2. 秋から初冬にかけて動きが活発になる
上で見たとおり、10〜11月は繁殖期と越冬地への移動が重なる。北海道庁はこの時期を、特に気をつけて走る時期としている。
3. ライトが当たると目が光る
夜にヘッドライトが当たると、エゾシカの目が反射して光る。暗い道の先に光るものが見えたら、そこにエゾシカがいるかもしれないと考えて走る。
4. 車が来ても逃げないことがある
ライトや走る音に反応して、その場で立ち止まることがある。北海道庁によると、アスファルトの上では蹄が滑るので、逃げ遅れたり、焦って転んだりもする。見出しのとおり、車が近づけば逃げる、とは限らない。
5. 1頭だけとは思わない
エゾシカは群れで行動する。1頭が道を渡りきったのを見ても、そのあとに2頭目、3頭目が続いて飛び出すことがある、と北海道庁は注意している。
北海道開発局の資料が言う「1番大事なこと」
国土交通省北海道開発局の地域ごとの注意喚起の資料(室蘭開発建設部のエゾシカ注意報(胆振・日高地域版・PDF))は、衝突を避けるためにいちばん大事なのはスピードダウンだと書いている。動物注意の標識を見たら、スピードを出しすぎないように、という呼びかけもある。
同じ資料は、エゾシカは大型の動物なので、ぶつかったときの車の被害も大きくなると説明している。
ここからは筆者の考え:キャンプの行程に落とし込む
上の資料は運転全般の注意だが、キャンプの行程に当てはめると、気をつける場面が見えてくる。ここから先は資料に書いてあることではなく、筆者の考えだ。
- チェックインに向かう時間。午後に出発して、キャンプ場に着くのが日没前後になる行程は、北海道庁が挙げる「夕方」と重なる。秋は日が短いので、着く時間を早めに組むと、暗い山道を走る時間そのものを減らせる
- 撤収後の帰り道。午後に撤収して、道の駅や温泉に寄ってから帰ると、帰りの運転が16時以降にずれ込みやすい。北海道庁の「16時から24時」の時間帯に入る
- 朝いちばんの移動。日の出前後も活動のピーク。早朝に次のキャンプ場へ移る連泊の旅や、車中泊をはさんで移動する旅も、同じように気をつける
- 積み荷。急にブレーキを踏む場面を考えると、荷室の荷物が前に飛んでこない積み方にしておきたい。積み方の順番はキャンプ道具の車への積み方で扱っている
エゾシカとぶつかったら:警察と道路緊急ダイヤル
事故は警察(110番)へ
国土交通省の「道路緊急ダイヤル(#9910)」のページは、事故の情報は警察(110番)へ連絡するよう案内している。#9910は道路の異状を受け付ける窓口で、事故の届け先ではない。
倒れたエゾシカや道路の異状は #9910 へ
北海道開発局の資料(上と同じエゾシカ注意報)は、倒れたエゾシカや道路の異状を見つけたら、道路緊急ダイヤル #9910(24時間受付)に連絡するよう書いている。
国土交通省のページによると、#9910は全国共通の番号で、24時間受け付けていて、通話は無料。場所を特定するために、道路名、進行方向、キロポスト、周りの施設などを確かめてほしいとしている。LINEアプリからの通報も、2024年3月29日の正午から始まっている。
同じページには、都道府県などが管理する道路では、夜間や土日祝日にすぐ対応できない場合がある、という注意も書いてある。
ここからは筆者の考え:電話の前に場所を控える
山あいの道では、自分がどこにいるかを言葉で説明しにくい。走っているあいだに、道路の番号の標識やキロポスト、通りすぎた道の駅の名前を、同乗者に見ておいてもらうと伝えやすい。国土交通省が挙げている「道路名・進行方向・キロポスト・周りの施設」を、そのまま控える項目にすればいい。
まとめ
数字の出どころは、北海道庁の発生状況(PDF)と交通事故防止のページ。
- 北海道でエゾシカが関係する交通事故(届出件数)は、2025年に全道6,705件。前の年より1,245件多い
- 10〜11月の2か月で2,737件、年間の40.8%。繁殖期と越冬地への移動が重なる時期
- 時間帯は、70%以上が16時から24時の間。活動のピークは日の出と日没の前後
- ライトで目が光る/車が来ても立ち止まることがある/群れで動くので2頭目以降にも注意
- 北海道開発局の資料は、いちばん大事なのはスピードダウンだとしている
- ぶつかったら、事故は警察(110番)へ。倒れたエゾシカや道路の異状は #9910(24時間・無料・全国共通)へ
参考にした情報源
- 北海道庁 エゾシカとの交通事故防止について(2026年10月10日確認)
- 北海道庁 令和7年(2025年)エゾシカが関係する交通事故発生状況(PDF・北海道警察本部交通部交通企画課資料)(2026年10月10日確認)
- 国土交通省北海道開発局 室蘭開発建設部のエゾシカ注意報(胆振・日高地域版・PDF)(2026年10月10日確認)
- 国土交通省 道路緊急ダイヤル(#9910)(2026年10月10日確認)

