ガスランタンを買って、いざ点けようとしたら「マントルを空焼きしてください」と書いてある。空焼きって何だ、と手が止まった——そんな方は多いはずです。
ここを知らずに使うと、せっかくのランタンがすぐ壊れます。逆に、手順さえ分かってしまえば短時間で終わる作業です。
この記事では、マントルの交換から空焼きまでの手順と、初心者がつまずく3つの原因、そしてキャンプ場で破れてしまったときの対処法までまとめました。メーカーの取扱説明書に書かれている内容を軸に整理しています。
ひとつだけ先に。マントルの形も、空焼きのやり方も、機種によって違います。この記事は全体の流れをつかむためのもので、最終的にはお使いのランタンの取扱説明書が優先です。この記事でも「どのメーカーがどう指示しているか」を、そのつど分けて書いていきます。
目次
そもそもマントルって何? なぜ空焼きが必要なのか
マントルは、ランタンの中に入っている網目状の小さな袋です。SOTO(新富士バーナー)はマントルを「発光体」と呼び、取扱説明書で、マントル(発光体)を付けて初めてランタンは明るくなると説明しています。
つまりガスランタンは、ガスの炎そのもので照らしているわけではありません。ガスの熱でマントルを高温にして、その光で明るくしています。だからマントルが無いと、ほとんど明るくなりません。
空焼きは「繊維を焼き飛ばして、灰の骨組みを残す」作業
新品のマントルの材質は、SOTOの品質表示で「発光体付ナイロン」とされています。発光する成分が、ナイロンの繊維に付いた状態です。この繊維が付いたままでは、うまく光りません。
一度しっかり燃やして繊維を焼き飛ばし、発光体だけを灰の形で残す——これが空焼きです。焼き終わったマントルは、白っぽい灰の状態になります。
コールマンは、空焼きの途中でガスを出して点火したり、空焼きを飛ばして点火したりすると、マントルがひどく縮んでゆがみ、小さくなってしまうと注意しています。ここを飛ばして点火すると、マントルが使いものにならなくなるということです。
マントルを交換する目安
交換の判断は、実はとてもシンプルです。破れ・穴・傷があるかどうか。これがメーカー各社に共通する基準です。
- 破れ・穴・傷がある … SOTOは、火をつける前に毎回マントルの破れを確かめ、破れていたら新品に替えるよう指示しています
- 逆に、破れていなければ使い続けられる … キャプテンスタッグは公式FAQで、焼けて発光体になったマントルは、壊れない限り使い続けてよいと回答しています
ですから「なんとなく古くなったから」で替える必要はありません。点火する前に、毎回ざっと見る。これが実質的な交換判断になります。キャプテンスタッグは、とくに運搬したあとの点検をすすめています。車で運んだ後は要注意ということです。
マントルは消耗品です。価格は、コールマンの純正マントル(95型・ノーススター2000/2500シリーズ用)が公式オンラインショップで2枚入990円(税込)、SOTOのマントル(ST-2101・ST-233用)が3枚入897円(税込)です(いずれも2026年8月時点)。1枚あたり数百円ですから、予備を持っておくと安心できます。
マントルの交換と空焼きの手順
🔴 先に、いちばん大事なことを。マントルの取り付け方も空焼きのやり方も、機種によってはっきり違います。まずお使いのランタンがどのタイプかを、取扱説明書で確認してください。
まず、自分のマントルがどのタイプか確かめる
市販のマントルは、大きく次の3タイプに分かれます。
- 紐で縛るタイプ … マントルの口に付いた紐を、バーナー部分の凹みに結んで固定します
- ワイヤークリップのタイプ … コールマンの95型がこれです。取扱説明書では、上下のワイヤークリップを、バーナーチューブとマントルサポートのくぼみにそれぞれ合わせ、ひねって留めるよう指示されています
- 差し込むタイプ … SOTOのST-2101/ST-2601がこれです。穴の大きいほうを下、小さいほうを上に向けて燃焼塔に差し込むよう指示されています
1. ホヤ(ガラスや金属メッシュの筒)を外す
ランタン上部のベンチレーター(傘)やガードを外し、ホヤを外します。ホヤはガラスのものもあれば、SOTOのレギュレーターランタンのようにメッシュホヤ(網状のホヤ)のものもあります。外し方は機種によって違うので、取扱説明書を確認してください。
古いマントルが残っている場合は、このとき取り除きます。灰になったマントルは崩れやすいので、下に新聞紙などを敷いておくと後片付けが楽です。
2. 新しいマントルを取り付ける
タイプに合わせて取り付けます。共通して大事なのは形を整えることです。SOTOのST-2101の取扱説明書は、差し込んだあとマントルを円盤状に整えるよう指示しています。
紐で縛るタイプの場合、Hondaキャンプの解説では、マントルのシワを指で軽く取り除いて歪みなく取り付け、余分なひも部分をハサミで切ることがすすめられています。同記事によると、結ぶタイプは余った紐が当たるとマントルが壊れるおそれがあるそうです。垂れた紐が、焼いた後のマントルに触れてしまうためです。
3. 空焼きする
🔴 ここが機種によっていちばん違うところです。ガスを出すか出さないかが、メーカーによって逆になります。
コールマン(2500ノーススター LPガスランタン)の場合
取扱説明書では、取り付けたマントルは点火する前に、燃料を出さないまま燃やして灰にするよう指示されています。さらに、器具栓ツマミがOFF(右)側へそれ以上回らない、つまりバルブが閉じていることを確かめるよう求めています。そのうえで、マントルに下のほうから均等に火をつけ、すっかり灰になるまで焼くよう続けています。
SOTO(ST-2101/ST-2601)の場合
手順が違います。マッチやライターでマントルに火をつけたら、ガスを出したり止めたりを繰り返し、マントルが丸い灰の形になるまでしっかり焼くよう指示されています。こちらはガスを使います。
つまり「空焼きは必ずバルブを閉じたまま」と言い切ることはできません。お使いの機種の説明書に従ってください。共通しているのは、点火する前に、完全に灰になるまで焼き切るという点です。
🔴 場所について。必ず屋外で行ってください。SOTOは、カラ焼きでは鼻をつくにおいの煙が出るので、必ず屋外で作業するよう明記しています。コールマンも、点火と消火は必ず火の気のない屋外で行うよう求めています。
4. ホヤを戻して、点火する
空焼きが終わったら、ホヤとベンチレーターを元に戻します。このときのマントルは、指で触れただけで崩れるほどもろいので、ぶつけないよう慎重に。
コールマンは、空焼きしたマントルはもろく、強くぶつけたり指先で触れたりしただけでも壊れやすいと、SOTOは、丸い灰になったマントルは壊れやすいので指や棒でつつかないようにと、どちらも注意しています。
戻したら、通常どおり点火します。なお、Hondaキャンプの解説では、空焼きしたばかりのマントルはもろいものの、燃料バルブを開けて一度燃やすと強度が上がると説明されています。ただし「強度が高まる=丈夫になる」ではありません。メーカー各社が上のとおり注意しているように、その後も指先で壊れる程度にはもろいままです。
失敗する3つの原因
「やってみたけど穴が空いた」という声が多い作業です。メーカーが注意書きに挙げている失敗要因は、次の3つに整理できます。
原因1:片寄って焼いた
コールマンは、一か所に偏った空焼きはマントルが破れる原因になるので、下のほうから均等に火を当てるよう明記しています。一か所だけ先に燃えると、焼けかたにムラが出ます。
取り付けたあと形を整えてから、下から回すように、まんべんなく火を当ててください。
原因2:焼き切る前に点火した
これもコールマンが明記しています。空焼きの途中でガスを出して点火したり、空焼きしないまま点火したりするとマントルがひどく縮み、ゆがんで小さくなってしまうため、必ず空焼きを最後までやりきってから点火するよう指示されています。
途中でやめないこと。全体が灰になりきるまで焼きます。
原因3:焼いた後にぶつけた・振動が加わった
空焼き直後のマントルは、灰の膜が形を保っているだけの状態です。前述のとおり、コールマンは強くぶつけたり指先で触れたりしただけでも壊れると、SOTOは指や棒でつつかないよう注意しています。
ホヤを戻すときの接触、持ち上げたときの振動、風。このあたりが原因になります。Hondaキャンプの解説でも、空焼きは風や振動のない場所で、落ち着いて行うようすすめられています。
キャンプ場で破れてしまったときの対処法
ここは、期待する答えと違うかもしれません。先に結論を書きます。
🔴 破れ・穴のあるマントルは、小さくても使わないでください。「一晩くらいなら」と使い続けるのは、メーカーが明確に止めている使い方です。
- コールマン:穴があいたままのマントルを使うと、グローブ(ガラス)の破損や異常な過熱の原因になる
- キャプテンスタッグ:穴があいたまま使うと、器具本体の故障やホヤの割れを招くことがある
- SOTO:破れていたら新しいマントルに替える
穴が開くとそこに炎が集中します。ガラスのホヤが割れる、本体が過熱する——暗いまま我慢するより、ずっと困ったことになります。
予備があるなら、交換する
予備のマントルに交換します。暗くなってからの交換は難しいので、ヘッドライトなど手元を照らせるものがあると助かります。空焼きが必要なので、屋外の、風や振動のない場所を選んでください。
予備が無いときは、そのランタンは使わない
正直なところ、代わりになるものはありません。その晩はそのランタンを諦めて、別の灯り(ヘッドライトやLEDランタン)で過ごすのが正解です。
だからこそ予備を持っていくことが、いちばんの対策になります。コールマンもSOTOも、取扱説明書で、マントルは消耗品なのでいつも予備を用意しておくよう書いています。
マントルは軽くて小さいので、荷物にはなりません。ランタンケースの隙間に入れておけば十分です。積み込みのときにまとめておくと忘れません(→ キャンプ道具の車への積み方)。
持ち運びと保管のコツ
空焼き済みのマントルは、壊れやすい状態のままです。次のように扱うと長持ちします。
- ランタン本体が完全に冷えてから、付属のケースに入れて保管・運搬する … コールマンの取扱説明書は、収納・保管の作業は必ず本体が完全に冷えてから行うよう注意したうえで、ランタン本体は付属のソフトケースに入れて保管するよう指示しています
- ホヤは元通りに戻しておく … 空焼き後にホヤ・ガードを戻すのは、メーカーの手順にも含まれています。むき出しのままだと何かが当たります
- 運んだ後は、点火前に必ず見る … キャプテンスタッグが運搬後の点検をすすめています。車の振動で破れていることがあります
それでも壊れるときは壊れます。消耗品と割り切って、予備を常備するのがいちばん確実です。
よくある質問
空焼きは毎回するの?
いいえ。新しいマントルに交換したときの1回だけです。SOTOの取扱説明書でも、図を添えて、マントルは一度カラ焼きしてから使うと説明されています。一度焼いてしまえば、次からは普通に点火するだけで使えます。
ガスを出しながら焼いてもいい?
機種によります。ここは思い込みが危ないところです。
コールマンの2500ノーススター LPガスランタンは、点火前に燃料を出さないまま焼いて灰にする=ガスを出さない。一方、SOTOのマントル(ST-2101/ST-2601)はガスを出したり止めたりして焼く=ガスを使う。真逆の指示です。
どちらが正しいということではなく、機種ごとの設計に合わせた手順です。必ずお使いのランタンの取扱説明書に従ってください。
ガソリンランタンでも同じ?
マントルを空焼きしてから使う、という点は同じですが、燃料の扱いや点火の手順が違います(加圧の作業が入ります)。お使いの機種の説明書を確認してください。この記事はガスランタンを前提にしています。
燃料はどれを買えばいい?
ランタンによってCB缶とOD缶に分かれます。違いと選び方は別の記事にまとめました(→ CB缶とOD缶の違いは?)。
まとめ
マントルの空焼きは、知らないと壊す、知っていれば難しくない作業です。
- 空焼きは、繊維を焼き飛ばして発光体を灰の形で残す作業。新品のときに1回だけ
- 手順は「ホヤを外す → 取り付けて形を整える → 完全に灰になるまで焼く → 戻して点火」
- ガスを出すかどうかは機種で逆になる。コールマンは出さない、SOTOは出したり止めたり。説明書が最優先
- 空焼きは必ず屋外で(刺激臭の煙が出ます)
- 失敗の原因は片寄った焼き・焼き切る前の点火・焼いた後の衝撃の3つ
- 穴や破れがあったら使わない。ホヤの割れや異常過熱につながります。予備を必ず持っていく
夜のキャンプ場で、明かりが消えるのはこたえます。出発前に一度、説明書を開いて手順を確認しておくと安心です。
焚き火とランタンが両方あると、夜の過ごし方がぐっと楽になります。焚き火のほうも自信がない方は、こちらもどうぞ(→ 焚き火のやり方完全ガイド)。
参考にした情報源
- コールマン ジャパン「2500 ノーススター LPガスランタン 取扱説明書」(PDF) … カラヤキは燃料を出さずに行う/下部から均等に火をつける/片寄ったカラヤキは破損の原因/カラヤキ途中や未実施での点火は縮み・変形の原因/カラヤキ後は指先でも簡単に破損/穴のあいたマントルの使用はグローブの破損・異常過熱の原因/95型マントルはワイヤークリップで固定/本体は付属ソフトケースで保管
- SOTO(新富士バーナー)「マントル(3枚入)ST-2101 取扱説明書」(PDF) … マントル(発光体)を付けて初めて明るくなる/使う前に一度カラ焼き/燃焼塔に差し込み円盤状に整える/ガスを出したり止めたりして丸い灰になるまで焼く/材質は発光体付ナイロン/カラ焼き時は刺激臭の煙が出るため必ず屋外で/灰になったマントルは指や棒でつつかない/点火前に破れを確認し、破れがあれば交換/消耗品のため常時予備を用意
- SOTO(新富士バーナー)「レギュレーターランタン専用マントル ST-2601 取扱説明書」(PDF) … レギュレーターランタンST-260専用のマントル/メッシュホヤを外して燃焼塔に差し込む/ガスを出したり止めたりして丸い灰になるまで焼く/空焼きは刺激臭の煙が出るため必ず屋外で
- キャプテンスタッグ 公式FAQ「ランタンのマントルに寿命はありますか?」 … 焼けて発光体になったマントルは壊れない限り使える/炭化したマントルは非常に壊れやすい/穴が開いた状態で使用すると器具本体の故障・ホヤの割れにつながることがある/運搬後は点火前の確認を推奨
- コールマン公式オンラインショップ「マントル(95型)2枚入」 … 価格990円(税込)/ノーススター2000・2500シリーズ適合(2026年8月時点)
- SOTO公式「マントル(3枚入)ST-2101」製品ページ … 価格897円(税込)/ST-233・ST-233CS対応/消耗品のためスペアの用意を推奨(2026年8月時点)
- Hondaキャンプ(ライティング術):ランタンの使い方とマントルの空焼きの解説 … 紐を結ぶタイプはシワを取り歪みなく取り付け、余分なひもをハサミで切る/余分なひもが触れるとマントルが壊れる可能性/風や振動のない場所で落ち着いて空焼きする/空焼き直後はもろいが一度燃焼させると強度が高まる
- BE-PAL(キャンプ雑学):ガソリンランタンのマントルを空焼きする理由 … マントルは合成繊維と発光塗料で構成され、空焼きで不要な合成繊維を燃やして発光塗料を残す/空焼き後は指先やチャッカマンの先で簡単に穴が開く/穴が開くと炎が集中しガラスグローブが曇る・割れる危険がある
※本記事は上記の公開情報をもとに構成しています。マントルの形状・取り付け方式・空焼きの手順は機種によって異なり、この記事の内容がお使いのランタンにそのまま当てはまるとは限りません。作業の前に必ず、お使いの機種の取扱説明書をご確認ください。価格は2026年8月時点で各社公式オンラインショップに掲載されていたものです。


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