ポンプノブを何十回 押しても、手に返ってくるものがない。ガソリンのツーバーナーやランタンで、これが起きると夜の支度が止まる。原因は1つではなく、症状によって見る場所が変わる。手応えが返らないのか、固くて押せないのかで、コールマンの手引きは答えを分けている。
この記事では、コールマンが公開している「ガソリン燃焼器具 メンテナンスハンドブック」を読んで、①そもそも正しいポンピングの手順 ②手応えが無いときに見るところ ③固くて押せないときに見るところ ④入れすぎ・入れなさすぎで起きること ⑤赤い炎が続くときに見るところ を整理した。
運営者が自分の器具を分解した記録ではない。メーカーの資料に書いてあることと、書き手の整理は分けて書く。
目次
まず、手順のほうを疑う
コールマンの「ガソリン燃焼器具 メンテナンスハンドブック」は、ポンピングの手順をこう書いている。
- 始める前に、燃料バルブを右に回して「OFF」の位置にしておく
- ノブは左へ2回転。これをやると、エアーステムとチェックバルブのあいだに空気の通り道ができる、と説明されている
- ノブの中央には穴があいている。ここを親指でふさぎ、人差し指と中指は添えるだけ
- ふさいだまま、引いて、まっすぐ奥まで。タンクに空気が入るのは押し込む側だけで、手前に引くときには力を入れないようにと書かれている
- 押し込めないくらい固くなったら終わり。指を穴から離し、そのまま押し込んで、止まるところまで右へ回せば閉じる
効いているのは、最初の2回転と、指でふさぐ穴だ。どちらも抜かしたまま手は動いてしまうので、抜かしたことに気づきにくい。
いくら押しても手応えが無い ── 穴とポンプカップ
同じハンドブックのよくある質問に、この症状そのものの項目がある。何度やっても手応えが返らず、圧が入らない、という問いだ。答えとして挙げられているのは2点。
- ひとつは、あの穴。指でふさいでいなければ、押した空気はそこから外へ抜けていき、タンクの側は何も変わらない。親指でふさぎ、残る2本を添える持ち方を、あらためて案内している
- もうひとつは、ポンププランジャーの先に付いているポンプカップ。ここが乾いていたり、すり減っていたりすると、わきから空気が逃げてタンクへ届かない。この部品専用のオイル「リュブリカント」を、ポンプキャップの穴から2〜3滴 入れるよう書かれている
そして、ここから先が大事なところだ。この部品が壊れている場合は、油を入れても効き目は無いので交換を、とはっきり書かれている。差して直らないときに、何度も差し直す意味は無いということになる。交換用のポンプカップはコールマンが部品として売っている。
引きすぎてノブが抜けてしまったときのことも書かれている。専用のレンチでポンプキャップを外し、落ちた部品を順に戻して、最後をプッシュオンナットで留める。タンクへ戻すところで、今度はポンプカップに直接 リュブリカントを2〜3滴、という流れだ。さきほどのキャップの穴からとは、入れる先が違う。
押しても固くて入らない ── 2回転を忘れていないか
症状が逆のときもある。押そうとしても抵抗があって動かせない、という問いも別に立っていて、そこには2回転はやりましたか、という問い返しが置かれている。左へ回すことでチェックバルブ、つまり空気の入り口が開く。開けないうちは、いくら押しても入るところが無い、という理屈だ。
その左に回すこと自体ができない場合も、別の質問になっている。挙げられている原因は2つ。
- 買ったばかりのものは、工場で強く締めてあることがある。プライヤーなどでノブをはさんで左へ、という対処が挙がっている
- それでも動かないなら、ポンプキャップを外して中のエアーステムを見る。この棒が曲がっていると、ノブの動きが渋くなる。左へ10回転以上 回せば抜けるので、まっすぐに直して組み直し、手順をはじめからやり直す
それでも入らないとき ── チェックバルブ側の話になる
ハンドブックは、この弁の仕組みにも1ページを割いている。筒の奥に入っていて、中の玉が、空気と燃料が逆向きに流れるのを止めている。タンクの圧が上がると、その玉が内側から押し上げられる、という仕組みだ。
そのうえでハンドブックは、症状ごとに原因を分けている。圧が上がらない場合と、燃料が逆流する場合については、この弁に砂やゴミなどの異物が付いていることが考えられるとしている。ポンプノブが押し返される場合については別に、玉が汚れなどで固着していることが考えられると書かれている。いずれも、この弁を手入れすれば解消する、と続く。段取りはハンドブックの23ページにまとまっている。
🔴 その手入れについて、ハンドブック自身が条件を先に書いている。取り外しの前にタンク内の空気圧は抜いておくこと。洗浄にはホワイトガソリンを使うため、引火しやすいので、火気のない風通しの良いところで行うこととしている。専用のチェックバルブレンチを使わずにマイナスドライバーなどで無理に緩めると、ねじ山をつぶして修理できなくなる、という注意も添えられている。
段取りそのものは、この記事では要約しない。ハンドブックの該当ページをそのまま見てほしい(ここは書き手の判断)。点検のやり方には火を使う手順も含まれているので、上の2つの条件と合わせて、メーカーの書き方のまま読むのが安全だと考えている。
圧は入るのに、炎がおかしい ── 入れる量の話
ポンピングそのものではないが、同じハンドブックが燃料の量についても書いている。入れる量の目安は、タンクを水平にしたときの8分目。タンクの中の空気と燃料の釣り合いとして、2対8がいちばん良いとされている。
- 入れすぎたとき 圧をかける余地が残っていないので、ガソリンが液体のまま出てしまう。赤い炎がメラメラと燃え続ける状態になる、と書かれている
- 足りないとき 燃料に対して空気が勝ってしまい、ランタンなら息つぎ(点滅する状態)、バーナーなら炎飛びのもとになる
つまり「いっぱい入れたほうが長く使える」は、この器具では通らない。入れすぎた日に赤い炎が出るのは、故障ではなく量の問題かもしれない。
ただし、赤い炎の原因はそれだけではない。同じハンドブックのストーブ編には、いつまでも赤い炎で燃えて安定しないという質問があり、1つめの答えとして挙がっているのが、圧が足りていない可能性だ。その場合は火をいったん消して、しっかり押し直すよう書かれている。もう1つは、気化しきれなかった燃料が液体のままバーナーのあたりに残っている場合で、これも火を消してから、本体をひっくり返して抜く(ツーバーナーならタンクのほうを外す)という手当てになる。
ガソリンそのものの扱いは、別に決まりがある
ハンドブックは保管にも触れている。少しの間ならかまわないが、タンクの中が結露して錆びたり、万一 漏れたりするのを避けたいので、残った燃料は抜くか使い切るほうを勧める、という書き方だ。長くしまうなら使い切ってから、としている。
容器や置き場所そのもののルールは、メーカーではなく公的機関が決めている。そちらは「ホワイトガソリンと灯油、保管ルールはここが違う」にまとめてある。
ガス式の器具で火がつかないときは、原因の見るところがまるごと変わる。「CB缶とOD缶の違いは?」と「CB缶が冬に火力が落ちる理由」のほうを見てほしい。あちらは缶の中の話、この記事はタンクに空気を入れる側の話として書き分けた。
まとめ
- 手応えが無いときにコールマンが挙げているのは、指で穴をふさいでいるか、ポンプカップが乾いたりすり減ったりしていないか、の2つ
- その部品が壊れているなら、油を足しても効かない。交換になる
- 固くて押せないなら、まず左へ2回転したかどうか。回らない場合は、締めすぎか、中の棒の曲がり
- それでも駄目なら、弁に砂やゴミが付いている可能性。分解の段取りはハンドブックの該当ページで
- 入れる量は8分目。多すぎれば液体のまま出て赤い炎、少なすぎればランタンの息つぎ・バーナーの炎飛び
- 赤い炎が続くときは、量だけでなく圧力不足も疑う。ハンドブックはまず、いったん消して十分にポンピングを、としている


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