キャンプ場に着いてから「薪、足りるかな」と不安になる。あるいは撤収のとき、燃やしきれなかった薪が余って困る。どちらも、買う前に量を決めていないことが原因です。
結論を先に言うと、1泊2日で夕方から夜にかけて焚き火をするなら「針葉樹1束+広葉樹2束」が出発点になります。
この記事では、その根拠になる燃焼時間の目安と、「束」で数えると当てが外れる理由、そして余らせないための逆算のしかたをまとめました。
目次
まずは目安から。一晩なら「針葉樹1束+広葉樹2束」
ホンダが運営する「Hondaキャンプ」では、1泊2日で初日15時ごろ〜21時、翌朝6時〜8時に焚き火をする場合の目安として、次のように紹介されています。
- 焚き火はじめ用に針葉樹が1束
- じっくり燃やすための広葉樹が2束
- よく薪が燃える焚き火台なら、広葉樹をもう1束追加しておきたい
日本ブッシュクラフト協会理事の川村知義さんが監修したhinataの記事でも、広葉樹を使う場合の目安として、夜だけ焚くなら2束(約6時間)、朝と昼も焚くなら3束(約9時間)と紹介されています。
数字の出どころは違いますが、どちらも「一晩で2〜3束」に収まっています。まずはここを基準にして構いません。
ただし「何束」だけで決めると、たいてい当てが外れる
ここからが本題です。薪の「1束」は、決まった重さの単位ではありません。
広葉樹の1束は約7kg、針葉樹の1束は約3kg
薪について解説している「まきごこち」によると、薪1束の重さは広葉樹で約7kg、針葉樹で約3kgとされています。
同じ「1束」なのに、倍以上ちがうわけです。
理由は木の密度です。広葉樹(ナラ・クヌギ・カシなど)は身が詰まっていてずっしり重い。針葉樹(スギ・ヒノキ・マツなど)は軽くてスカスカしています。手に持てば、はっきり違いが分かるはずです。
つまり「3束買った」と言っても、中身が針葉樹ばかりなら約9kg、広葉樹ばかりなら約21kg。燃える時間はまるで別物になります。
「束」ではなく「重さ」と「種類」で数える
だから薪を買うときは、束の数だけを見ないでください。見るべきは次の2つです。
- 種類(広葉樹か、針葉樹か、混ざっているか)
- 重さ(表示があれば必ず確認する)
キャンプ場の売店では種類が書かれていないこともあります。その場合は持ってみて判断するのが手っ取り早い方法です。ずっしり重ければ広葉樹寄り、軽ければ針葉樹寄りと考えて、量を調整しましょう。
燃焼時間の目安を頭に入れておく
Hondaキャンプ・hinataのどちらも、燃焼時間の目安をこう示しています。
- 広葉樹:1束あたり3〜4時間
- 針葉樹:1束あたり1〜2時間
焚き火台の大きさや空気の通り方で前後しますが、広葉樹は針葉樹のおよそ2倍もつと覚えておけば十分です。
針葉樹は「着火役」、広葉樹は「キープ役」
この違いは、そのまま使い分けにつながります。
- 針葉樹…火が付きやすい。火を起こす最初の30分〜1時間はこれで。細く割って使うとさらに楽
- 広葉樹…火が付きにくいが、いったん熾(おき)になれば長く安定して燃える。落ち着いて眺める時間帯はこちら
針葉樹だけで一晩やろうとすると、薪をくべ続けることになって座る暇がありません。逆に広葉樹だけだと、最初の着火でつまずきます。両方を持っていくのが結局いちばん楽です。
火の起こし方そのものに自信がない方は、焚き火のやり方完全ガイドもあわせてどうぞ。
必要な量は「何時にやめるか」から逆算する
ここが、多くの記事で抜けているところです。
必要な薪の量は「何時間焚き火をしたいか」では決まりません。「何時に薪を入れるのをやめるか」で決まります。
就寝・撤収の2〜3時間前には、薪の投入を終える
Hondaキャンプが行った焚き火の終わらせ方の検証では、「就寝や撤収の最低でも2時間、できれば3時間前には薪の投入を終える」ことが推奨されています。
実際の検証でも、最後に薪を入れてから灰になるまで約2時間、開始から完全に灰の状態になるまで約3時間かかったと報告されています(約2kgの薪の場合)。
燃え残った薪や炭を、そのまま置いて帰ることはできません。燃やしきる時間まで含めて計画する——これが余らせないための、いちばん確実な方法です。
逆算の例:15時着・22時就寝の場合
手順にすると、こうなります。
- 22時に寝る → 逆算して19時〜20時には最後の薪を入れ終える
- 15時に到着して設営、17時ごろ火起こし開始 → 薪を入れられるのは17時〜20時の約3時間
- 針葉樹1束(1〜2時間)で着火と序盤、広葉樹1束(3〜4時間)で残り
- 翌朝も焚くなら、広葉樹をもう1束
「6時間焚き火するぞ」と意気込んで薪を買うと余ります。実際に薪を入れられる時間は、思っているより短いと考えてください。
針葉樹は、放っておくと燃え尽きにくい
同じ検証では、広葉樹とミックスの薪は放置してもほぼ完全に燃やしきれた一方、針葉樹は頻繁に手を加える必要があったとも報告されています。
終盤に針葉樹を足すのは避けたほうが無難です。最後に残すのは広葉樹。この順番だけでも、片付けがぐっと楽になります。
人数・季節で足す分の考え方
基準の「2〜3束」から、次のように増減させます。
- ソロ…焚き火台が小さいぶん消費も少ない。広葉樹1〜2束で足りることが多い
- 4人以上…火を大きくしたくなるので、広葉樹を1束多めに
- 冬(暖を取る目的)…眺めるためではなく暖まるために焚くので、消費が跳ね上がる。多めに
- 薪ストーブを使う冬キャンプ…前出のhinataでは1泊2日で広葉樹を最低30kg程度とされています。焚き火とはけた違いなので、混同しないこと
足りない・余った、そのときどうするか
足りなくなったとき
多くのキャンプ場は薪を販売しています。hinataによるとキャンプ場での価格は1束500〜600円程度が目安です。
ただし売店の営業時間には注意してください。夜は早く閉まる施設が少なくありません。「足りなければ買い足せばいい」と考えるなら、チェックイン時に売店の閉店時間を確認しておくのが確実です。
余ってしまったとき
燃やしきれなかった薪は、次のどれかになります。
- 持ち帰る…いちばん確実。乾いた状態を保てば次回そのまま使えます
- キャンプ場のルールに従う…引き取りや譲渡の仕組みがある施設もあります。勝手に置いていかない
- その場に捨てる…これは絶対にやってはいけません。景観の問題だけでなく、害虫の持ち込みにもつながります
持ち帰るときは、濡らさないことが大事です。湿った薪は火が付きにくくなるうえ、保管中にカビが出ます。車に積むときも、濡れた道具とは分けておきましょう(→ キャンプ道具の車への積み方)。
安全のために、これだけは
薪の量の話は、そのまま火の後始末の話でもあります。
- 燃え残りを水で一気に消さない…急激に冷やすと焚き火台が変形することがあります。基本は燃やしきる
- 灰は指定の灰捨て場へ…地面に埋めるのは、多くのキャンプ場で禁止されています
- 就寝前に完全に消えているか確認する…熾火は見た目より長く熱を持ちます
- 風の強い日は無理をしない…火の粉が飛びます。焚き火をしない判断も立派な判断です
よくある質問
薪は事前にネットで買っておくべき?
種類と重さを確認して買えるという点では、事前購入にメリットがあります。一方でキャンプ場や道の駅で買えば荷物にならず、地元の薪が手に入ることもあります。どちらが正解ということはありません。確実性を取るなら事前、身軽さを取るなら現地です。
薪を割る道具は必要?
キャンプ場の薪は太いことがあり、そのままでは火が付きにくい場合があります。細く割れると着火がぐっと楽になります。道具選びは鉈の選び方を参考にしてください。
落ちている枝を拾って使ってもいい?
キャンプ場によって扱いが違います。禁止しているところも多いため、必ず現地のルールを確認してください。なお、拾ったばかりの枝は水分を含んでいて、燃やすと煙が出ます。焚き付けとして使うなら、乾いたものを選びましょう。
まとめ
薪の量で迷ったら、次の順番で考えてください。
- 基準は一晩で「針葉樹1束+広葉樹2束」
- ただし1束の重さは広葉樹約7kg・針葉樹約3kgと倍以上ちがう。束の数だけで判断しない
- 燃焼時間は広葉樹3〜4時間、針葉樹1〜2時間。針葉樹は着火役、広葉樹はキープ役
- 必要量は「何時に薪の投入をやめるか」から逆算する。就寝の2〜3時間前が目安
- 最後に残すのは広葉樹。針葉樹は放置では燃え尽きにくい
- 余った薪は持ち帰る。置いていかない
薪の量が読めるようになると、焚き火の時間そのものが落ち着きます。買いすぎず、足りなくもなく——そこを目指していきましょう。
参考にした情報源
- Hondaキャンプ(本田技研工業)「焚き火の薪、種類による違いは?燃焼時間や量、効率的な燃やし方」
- Hondaキャンプ(本田技研工業)「焚き火の上手な終わらせ方を検証!薪の追加をヤメる時間の目安は?」
- hinata「薪の種類や焚き火に必要な量、調達方法を知ろう【日本ブッシュクラフト協会理事監修】」
- まきごこち「焚き火で必要な薪の量は?|1束あたりの重さや燃焼時間も」


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