車中泊キャンプは、泊まってよい場所を選ぶことと、エンジンを切って眠ることが出発点です。国土交通省は、道の駅での仮眠はかまわないが、駐車場など公共空間での宿泊利用は基本的に遠慮してほしい、としています。初めてなら、車中泊を受け付けているオートキャンプ場か、日本RV協会のRVパークを選ぶのが確実です。
エンジンをかけたまま眠るのは危険です。JAFのテストでは、雪でマフラーがふさがれた車の中の一酸化炭素濃度が、16分で短時間暴露限度の400ppmに達しました。この記事では、国土交通省・厚生労働省・JAF・日本RV協会の資料に沿って、場所・寝床・暑さ寒さ・安全をまとめます。
出どころは記事の最後にまとめています。
どこで泊まるか

オートキャンプ場
泊まることが前提の施設で、トイレや炊事場があり、焚き火やバーベキューもルールの範囲で楽しめます。ただし、テントを張る前提の料金や決まりにしている所もあるので、車中泊だけの利用ができるかを予約の前に確かめてください。キャンプ場選びはキャンプ場の選び方へ。
RVパーク
日本RV協会が定めた条件を満たし、認定した車中泊施設です(日本RV協会「RVパークのご案内」)。条件には次のようなものがあります。
- 駐車スペースにゆとりがある(推奨は幅4m・奥行7m以上)
- 24時間使えるトイレ
- 100V電源が使える(20A以上を推奨)
- 車で15分圏内に入浴施設がある
- ごみ処理ができる
- 複数日の滞在ができる
同協会は、これらの施設は車中泊ができる駐車場であって、キャンプ行為はできないと書いています。焚き火やテーブルを広げての食事をしたいなら、オートキャンプ場を選びます。
道の駅は「仮眠」まで
国土交通省の「道の相談室」は、道の駅は事故を防ぐために24時間開いている休憩の場所なので、運転の疲れをとる目的で車の中で仮眠するのは問題ない、ただし駐車場など公共空間での宿泊利用は基本的に遠慮してほしい、と答えています。宿泊用の駐車スペースを設けている道の駅もあるので、各道の駅のホームページで確かめるよう書いています(国土交通省「休憩施設『道の駅』」)。
キャンプとして泊まる計画なら、道の駅ではなく、泊まれる施設を予約してください。
寝床の作り方

- 後ろの座席を倒し、できるだけ平らな面を作る
- 倒したときにできる段差やすき間を、自分の車で実際に測る(車種や年式で違う)
- 大きなくぼみは荷物やクッションで埋め、その上にマットを敷く
- 家の駐車場で一度寝てみる
マットの種類ごとの特徴はキャンプマットの選び方へ。車内に入る大きさなら、ロータイプのコットを使う方法もあります(キャンプ用コットの選び方)。寝袋は寝袋の種類と選び方へ。
エコノミークラス症候群を防ぐ
厚生労働省は、食事や水分を十分にとらないまま、車などの狭い座席に長い時間座って足を動かさないでいると、血のめぐりが悪くなって血液が固まりやすくなり、その血の塊が肺に詰まるおそれがある、と説明しています。予防として挙げているのは次のことです(厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」)。
- 水分はこまめに、しっかりとる
- ときどき体操やストレッチで体を動かす。かかとの上げ下ろしや、ふくらはぎのマッサージも
- 眠るときは足を高くする
- 締めつけの少ない服にし、ベルトはゆるめる
- お酒は控えめに。たばこもできればやめる
座ったままではなく、平らな寝床で横になって眠れるようにしておくことが、車中泊の準備の中心です。
持ち物
- マット・寝袋・枕:寝床の三点
- サンシェード・目隠し:外からの目線と朝日をさえぎる
- ランタン:車内灯をつけっぱなしにしない
- 網戸(ウィンドウネット):窓を開けて換気しながら虫を防ぐ
- 飲み物:寝る前と起きたあとの水分補給に
- ゴミ袋:施設のルールに従って処理する
- ポータブル電源(あれば):扇風機や電気毛布を、エンジンをかけずに使うため。充電の方法は車中泊・キャンプでポータブル電源を充電する、容量の選び方はポータブル電源の選び方へ
- クーラーボックス:保冷のコツはクーラーボックスの保冷を長持ちさせるコツへ
キャンプ道具をこれからそろえる人は、ソロキャンプ道具一式はいくら?必要な11点と、公式ストアの価格で組んだ一例も参考にしてください。
夏:車の中はすぐ暑くなる

JAFが2012年8月に行ったテストでは、炎天下に停めた車で、サンシェードを付けたり窓を3cm開けたりしても車内温度の上昇を抑える効果は低く、人や動物が耐えられない温度になりました。エアコンを止めてからわずか15分で、暑さ指数(WBGT)が危険レベルに達した、とも報告しています(JAF「真夏の車内温度」)。
- 子どもやペットを車内に残して離れない:JAFは、乳幼児は体温調節機能が未発達で、寝ているからといって車内に残すのは大変危険だとしています
- 日中は車内で過ごさない:木陰やタープの下で過ごし、寝る前にドアを開けて熱気を逃がす
- 夜は窓を開けて網戸で換気し、扇風機で風を通す
- 暑さ指数を確かめる:熱中症の予防と応急処置はキャンプの熱中症対策|暑さ指数(WBGT)の見方へ
エアコンのためにエンジンをかけて眠るのはやめてください。JAFは同じテストで、エンジンをかけたままだと誤操作で車が動いたり、燃料切れで止まったりするおそれがあると書いています。夜も暑くて眠れそうにない日は、日程や行き先を変えることも考えます。
冬:エンジンを切る、マフラーをふさがない
JAFが2015年2月に北海道で行ったテストでは、雪でマフラーの高さまで、さらにボンネットの上まで埋めた車のエンジンをかけて、車内の一酸化炭素(CO)濃度を測りました(JAF「クルマが雪で埋まった場合、CO中毒に注意」)。
- 何もしなかった車では、CO濃度は始めてすぐ上がり出した。400ppm(短時間暴露限度)に届いたのが16分後、測定器の上限1,000ppmに届いたのはそこから6分後だった
- マフラーの周りを除雪した車では、COはほとんど検知されなかった
- 窓を5cmほど開けた車でも、約40分後に400ppmに上がり、その後すぐ800ppm台になった
- 車の床下にたまった排ガスが、車体のすき間などから車内に吸い込まれた
JAFは、周りの状況や風向き、エアコンの設定で変わるため、テストで安全だった条件でも危険になる場合があるとしています。眠るときはエンジンを切ります。雪の日はマフラーの周りの雪をこまめに取り除いてください。一酸化炭素についてはキャンプの一酸化炭素中毒対策にもまとめています。
車の中では、カセットこんろやガスバーナーなどのガス器具を使わないでください。NITE(製品評価技術基盤機構)は、テントの中や車の中のような狭い場所でガス機器を使うと、不完全燃焼を起こして一酸化炭素中毒になるおそれがあり、周りの燃えやすい物に火がついて火災になるおそれもあると注意しています(出典:NITE(製品評価技術基盤機構)「おうちキャンプを楽しく安全に」)。湯を沸かす・調理するときは車の外で、周りに燃えやすい物のない場所を選びましょう。炭を入れた七輪なども同じです。NITEは、七輪やカセットこんろなどの加熱機器を、車やテントのような換気の悪い場所で使わないよう呼びかけています。不完全燃焼で一酸化炭素中毒が起き、大変危険だからです(出典:NITE(製品評価技術基盤機構)「アウトドアでの製品事故」)。
寒さ対策は、エンジンではなく寝具で考えます。寝袋の快適温度とマットの断熱の数字は冬のソロキャンプは何度まで?へ。湯たんぽを使うなら低温やけどに注意してください(寝袋に湯たんぽは入れっぱなしでいい?)。
キャンプ場でのマナー
- 着いたらエンジンを止める
- 夜はドアの開け閉めを静かに。車の出し入れは最小限に(ヘッドライトが周りのテントに当たる)
- 区画からはみ出さない。ゴミは施設のルールどおりに
キャンプ場全般のマナーはキャンプ場のマナーへ。
出発前のチェックリスト
- □ 泊まる施設が車中泊を受け付けているか確かめた(オートキャンプ場・RVパーク)
- □ 家の駐車場で一度寝てみて、段差を埋めた
- □ 天気予報と最低気温を見て、寝具を決めた。夏は暑さ指数も確かめた
- □ 網戸・サンシェード・ランタン・飲み物
- □ 夜はエンジンを切って眠る段取り(暑さ寒さは寝具・換気・ポータブル電源で)
- □ 雪の予報なら、マフラーの周りを除雪する道具
よくある質問
Q1. 道の駅で車中泊してもいいですか?
国土交通省は、運転の途中で疲れをとるための仮眠はかまわないが、宿泊利用は基本的に遠慮してほしい、としています。宿泊用のスペースを設けている道の駅もあるので、各道の駅のホームページで確かめてください。
Q2. 窓を少し開けておけば、エンジンをかけたままでも大丈夫ですか?
大丈夫とはいえません。JAFのテストでは、窓を5cmほど開けた車でも約40分後にCO濃度が400ppmに達しました。眠るときはエンジンを切ってください。
Q3. RVパークで焚き火はできますか?
日本RV協会は、同協会の車中泊施設ではキャンプ行為はできないとしています。焚き火をしたいならオートキャンプ場を選んでください。
まとめ
- 泊まるならオートキャンプ場かRVパーク。道の駅は仮眠まで
- 平らな寝床を作り、横になって眠る。水分と足の運動でエコノミークラス症候群を防ぐ
- 夏の車内はすぐ危険な暑さになる。子どもやペットを残して離れない
- 眠るときはエンジンを切る。雪の日はマフラーの周りを除雪する
参考にした情報源
- 国土交通省 道の相談室「休憩施設『道の駅』」
- 日本RV協会「RVパークのご案内」
- 厚生労働省「エコノミークラス症候群の予防のために」
- JAF「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」(2012年8月実施)
- JAF「クルマが雪で埋まった場合、CO中毒に注意(JAFユーザーテスト)」(2015年2月実施)
- NITE(製品評価技術基盤機構)「おうちキャンプを楽しく安全に」(2020年8月27日)
- NITE(製品評価技術基盤機構)「アウトドアでの製品事故」
2026年10月17日に全体を書き直しました。泊まれる場所・エコノミークラス症候群・車内の暑さ・一酸化炭素の記述を公的機関とJAF・日本RV協会の資料に沿って直し、出どころを示せない記述(車種別のマットの厚さ、標高と気温の計算、費用の目安、体験談、モデルスケジュールなど)は外しました。




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