寝袋から白い羽根が顔を出している。つまんで抜きたくなるが、その前に見てほしいことがひとつある。どこから出ているかだ。縫い目から出ているのと、生地の面から出ているのとでは、メーカーが書いている手当てが違う。
この記事では、モンベルの公式サイト(よくある質問と、お手入れ・洗濯のページ)と、イスカの「今さら聞けない寝袋のはなし」を読んで、①出ている場所ごとの対処 ②引き抜いてよいかどうか ③そもそもなぜ抜けるのか ④帰ってきたあとの置き方 を整理した。
先に断っておくと、これは運営者が自分の寝袋で試した記録ではない。メーカーの資料に書いてあることと、書き手の整理は分けて書く。
目次
まず、縫い目から出ているのか、生地の面から出ているのかを見る
モンベルのよくある質問「ダウン製品から羽毛が抜けた時の対処法を知りたい」は、この2つを分けて書いている。
- 縫い目から出る場合 出ているのは羽毛の切れ屑なのだという。粘着テープ(ガムテープなど)を貼って剥がせば取れる、としている
- 生地から出る場合 外へ引き抜くと、静電気の働きで別の羽毛まで一緒に引き出されてしまう。だから、出ている側ではなく裏へ回り、そこからフェザーをつまんで内側へ戻してほしい、という案内だ
同じ「羽根が出ている」でも、前者は屑を取り除く話で、後者は中身を戻す話だ。気づいたその場で触る前に、明るいところでどちらかを見てからにしたい(ここは書き手の勧め)。
生地の面から出ているとき ── 引き抜かずに、裏側から戻す
イスカの「今さら聞けない寝袋のはなし」も、戻す側を勧めている。羽根が出ている面とは反対の側に回り、そこから羽毛を引いて内側へ戻す。生地にもダウンにも負担をかけない、いちばん良いやり方がこれだ、という書き方だ。戻すときは、中の羽毛を大きめにつかむようにすると、より効きやすいとも添えている。
ここは2社で書き方に幅があるので、片方だけを渡さずに両方 書いておく。
- モンベルは、生地から出た場合について、引き抜くと静電気で他の羽毛を引き出すとして、裏側から引き戻すよう書いている
- イスカは、少量であれば、そのまま引き抜いてもよいとしている。ただし、ほかの羽毛までいっしょに出てきてしまった場合は生地の傷みが大きくなるので、できれば避けたいほうだ、と続けている。そのうえで、どうしても戻せないときは、無理をせず、ゆっくり引き抜いてほしいとしている
ここで大事なのは、どちらがどこまで書いているかだ。「戻らなければ引き抜いてよい」という逃げ道を書いているのは、イスカのほうだけである。モンベルの側は、よくある質問から案内されている「ダウンウエアのお手入れ方法」のページまで開いても、引き抜いてよい条件のほうは出てこない。代わりに書いてあるのは戻したあとの話で、出ていた場所を軽く揉んでおけば、抜けた跡は残らないとしている。
だから、手元がモンベルの寝袋なら、戻す側だけを試すのが書いてあることに素直な扱いになる。イスカの寝袋なら、戻らなかったときの逃げ道まで示されている。ここは書き手の読み方だが、2社を平均して「まあ抜いてもいい」と受け取るのは、モンベル側の書き方を薄めることになると思う。
なぜ抜けるのか ── 生地に通気性が要るから
羽根が出てくると不良品を疑いたくなるが、モンベルのよくある質問「ダウン製品の羽毛が抜ける理由を知りたい」は、理由をはっきり書いている。要点はこうだ。
- 生地には特殊なコーティング加工がしてある。ダウンプルーフ(羽毛飛び出し防止)と呼ばれるもので、織り目から出てくるダウンやスモールフェザーを抑える役目だ
- 一方で、ダウンは空気を含んで保温性を保つ素材だ。その性質を生かすには、生地の側にもある程度の通気性が要る
- だから、羽毛がまったく抜けなくなる加工は施せない
- 一般的には使っていくうちに落ち着くもので、ダウン製品のやむを得ない特性として理解してほしい、と結んでいる
イスカのほうは、突き出てくる場面として、購入直後で羽毛が安定していない状態や、生地の経年を挙げている。出てくるのは主にフェザーで、繊維の隙間や縫い目から突き出てくることがある、と書いている。
つまり、暖かさと「1本も出ない」は両立しにくい。空気を抱えるための通気性が、羽根の出口にもなっている。ここは書き手の言い方だが、羽根が1本 出たことを故障のサインとして扱う必要はない、と読んでいる。
帰ってきたあとの置き方 ── 収納袋に入れっぱなしにしない
イスカの同じページは、持ち運びの袋と保管の袋を分けて考えるよう書いている。
- 帰ってきたら、乾かすことも兼ねて、まず収納袋から出しておく
- 乾いたあとは、できればストリージバッグ(保管袋)などに移して置く
- 収納袋のほうは、小さくして持ち運ぶための袋だ。中の羽毛はどうしても圧縮された状態になる。そこから解放してやるほど、寝袋が本来もっているふくらむ力を保ちやすい
モンベルの「スリーピングバッグの洗濯方法」のページにも、同じ向きの記述がある。ただし置かれている場所が違って、丸洗いの手順の6番目、洗って乾かしたあとの保管として書かれているものだ。袋は通気性のよい大きめのものを選び、中で圧縮しない状態にして、湿気の少ない場所に置く、という書き方だ。
🔴 ここで書き手の側から断っておく。この2社の記述は、どちらも羽根の飛び出しを止める話として書かれているわけではない。イスカが言っているのは、ふくらむ力を保つという話だ。モンベルのほうは、保管の場所と袋の選び方までで、羽根には触れていない。
それでも、収納袋に入れっぱなしにしない、という向きは2社に共通している。モンベルのお手入れのページには、スタッフバッグ(収納袋)は携行用のもので、長期の保管には向かない、という注記がある。こちらはダウンウエアについて書かれたページだが、持ち運ぶ袋としまっておく袋を分ける考え方は、イスカの書き方と重なる。押入れの奥に突っ込んだままの1袋があるなら、帰ってきた日の夜にほどいておきたい。
洗い方のほうは、ダウンと化繊で手順が真逆になる。そちらは「寝袋の洗い方完全ガイド!ダウン・化繊で真逆になる手順とメーカーが避けるよう案内していること」にまとめてある。
出ている羽根が気になる前に、寝袋そのものが合っているか
羽根が出ていること自体は、上に書いたとおり不良ではない。ただ、寒くて眠れない夜が続いているなら、羽根の本数より先に見るところがある。快適温度とマットのR値だ。そこは「冬のソロキャンプは何度まで?寝袋の「快適温度」とマットのR値だけで決める方法」に書いた。
寝袋の中に湯たんぽを入れる手もあるが、低温やけどの話は先に読んでおいてほしい。「キャンプの湯たんぽ、寝袋に入れっぱなしでいい?」にまとめてある。
まとめ
- まず、縫い目から出ているのか、生地の面から出ているのかを見る
- 縫い目からなら、モンベルは羽毛の切れ屑だとして、ガムテープなどで剥がす方法を挙げている
- 生地からなら、引き抜かずに裏側から戻す。モンベルは静電気で他の羽毛を引き出すためだとしている
- イスカは、少量なら引き抜いてもよいとしつつ、できれば避けたい側だとし、戻せないときは無理をせずゆっくり引き抜くよう書いている
- 抜けるのは、生地にある程度の通気性が要るから。完全に抜けない加工はできない、とモンベルが書いている
- 帰宅後は収納袋から出す。保管は、圧縮しない大きめの袋で
参考にした情報源
- モンベル よくある質問「ダウン製品の羽毛が抜ける理由を知りたい」
- モンベル よくある質問「ダウン製品から羽毛が抜けた時の対処法を知りたい」
- モンベル カスタマーサービス「スリーピングバッグの洗濯方法」
- モンベル カスタマーサービス「ダウンウエアのお手入れ方法」
- イスカ「今さら聞けない寝袋のはなし」


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