シングルバーナーに火がつかない原因|点火装置・寒さ・ガスの出方で分けて確かめる

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つまみを回してボタンを押しても、シングルバーナーに火がつかない。そんなときは、やみくもにカチカチを続けたり缶を温めたりする前に、「平地でも火花が出ないのか」「寒さ・高い場所・濡れが重なっていないか」「ガスは出ているか(音やにおいがするか)」を確かめてくれ。どれに当てはまるかで、疑う場所が変わるからだ。

この記事では、イワタニ・プリムスと岩谷産業が公開している「よくあるご質問」、NITE(製品評価技術基盤機構)の事故情報、日本ガス石油機器工業会の注意事項をもとに、火がつかないときの確かめ方を整理する。この3つに分けて並べたのはこの記事の整理で、メーカーが示している手順の順番ではない。CB缶とOD缶の違いや寒い時期の燃料選びはCB缶とOD缶の違いの記事で扱っているので、ここではいま火がつかないときにどこを見るかに絞るぞ。

目次

先に結論|点火装置・寒さや濡れ・ガスの出方で分けて見る

  • 平地でも火花が飛ばない・スイッチが押せない・カチカチ音がしない。イワタニ・プリムスは、こうなるときの理由に、点火装置の破損のおそれと、電極とバーナーの距離が合っていないことを挙げ、どちらも販売店を通した修理点検を案内している。
  • 山や寒い日、濡れたあとにつかない。同社は、山で圧電点火装置で点火しなかったときの理由として、気温が5℃を下回ると圧電点火装置そのものの放電の力が落ちること、高所では酸素が薄いこと、濡れていること、ガスの勢いで火花が消えることを挙げている。
  • 音もにおいもせず、ガスが出ていない。同社は、器具のねじ込み過ぎでバルブの頭がへこむこと、ノズルの詰まり、低い気温でガスが気化しないこと、缶が空であることを挙げている。
  • ボンベをヒーターなどで温めるのはやめる。NITEは、着火しづらいからと暖房器具でカセットボンベを温めることを「絶対にやめて」と呼びかけ、実際にボンベが破裂した事故を紹介している。
  • 圧電点火が効かない日はある。イワタニ・プリムスは、圧電点火装置がいつでも働くわけではないとして、マッチやライターを必ず持っていくよう書いている。

その前に|缶を付けたあとに異音や異臭がしたら使うのをやめる

火がつかないとき、まず確かめてほしいのがガス漏れのサインだ。

NITEは、カセットボンベは取扱説明書の指示どおりに正しく装着するよう呼びかけ、装着を誤ったまま使うとガスが漏れて火災に至るおそれがあるとしている。そのうえで、装着したあとに異音や異臭などがあればガス漏れのおそれがあるので、ただちに使用を中止するよう書いている(NITE 製品安全情報マガジン「カセットボンベの事故」)。NITEが公開している再現映像では、正しく接続されていないボンベの接続部から漏れたガスに、こんろの点火で火が移り、大きく燃え上がる様子が映っている(NITE 再現映像「カセットこんろのガス漏れ」)。

NITEのこの呼びかけはカセットボンベを使う製品についてのもので、音やにおいの出どころを限っていない。缶をつないで火を使う点はシングルバーナーも同じなので、この記事では缶を付けたあとにいつもと違う音やガスのにおいがしたら、つなぎ目に限らず、点火を繰り返さずに使うのをやめることをすすめる。火がつかなくて缶を付け直すときも、説明書どおりに正しく付いているかを確かめてくれ。

ケース1|平地でも火花が飛ばない・カチカチ音がしない

平地でもスパークしないなら、点火装置の故障を疑う

イワタニ・プリムスは、平地でも点火しない例として「スパークしない」「スイッチが押せない」「カチカチ音がしない」を挙げ、考えられる理由を2つ書いている(イワタニ・プリムス よくあるご質問)。

  • 点火装置が破損しているおそれがある
  • 電極とバーナーの間の距離が合っていない。距離を調整すると直ることがある

どちらの場合も、同社の案内は販売店を通して修理点検を頼むことだ。電極の距離の調整も、同社は販売店経由の修理点検として案内している。

寒い山の上や、濡れたあとで火花が弱い・つかないときについては、同社は別の理由を挙げている。その場合は先にケース2を見てくれ。

ちなみに岩谷産業は、家庭用のカセットこんろについて、電極の位置を指で直す方法をよくあるご質問に載せている(岩谷産業 カセットこんろのよくあるご質問)。そこには、この作業はボンベを付けずに行うこと、指が電極に触れているときは絶対に点火つまみを回さないことも書かれている。ただしこれはカセットこんろ向けの案内だ。イワタニ・プリムスは自社のバーナーの電極とバーナーの距離について、販売店を通した修理点検を案内している。そこでこの記事では、シングルバーナーの電極は自分で曲げず、説明書に従って販売店などに点検を頼むことをすすめる。

ライターかマッチは、いつも持っていく

イワタニ・プリムスは、圧電点火装置はいつでも必ず働くわけではないので、取扱説明書にあるとおりマッチやライターを必ず持っていくよう書いている。自動点火つきのバーナーでも、点火用の火は別に用意しておくのが前提だと考えておこう。

ケース2|山や寒い日、濡れたあとにつかない

イワタニ・プリムスは、山で圧電点火装置で点火しなかったときの理由として、次の4つを挙げている。

  • 気温が低い:気温が5℃を下回ると、低温で圧電点火装置そのものの放電の力が落ち、着火しにくくなる
  • 酸素が薄い:高い所では燃焼に使う空気の酸素が少なくなり、着火しにくくなる
  • 濡れている:吹きこぼしや雨、夜露で濡れた場合は乾くまで使えない
  • ガスの勢い:ガスを出すとき、火花がガスの勢いに負けて消えることがある

最後の「ガスの勢い」について、同社は対処も書いている。火力調整つまみを絞ってガスを少なくして着火し、それから好みの火力にする。また、コッヘルをのせると着火することがあるとしている。つまみを大きく開けたまま何度もカチカチしているなら、一度絞ってから試してみてくれ。

風が強くて火がつかないからといって、テントや車の中で点火しようとするのはやめよう。日本ガス石油機器工業会は、テント内でランタンやこんろなどのガス器具を絶対に使わないよう呼びかけ、屋内・車内・テント内で使うと一酸化炭素中毒死や酸欠による窒息死のおそれがあるとしている。屋外でも、狭い空間では換気に注意するよう添えている(日本ガス石油機器工業会 アウトドア用ガス器具の安全な使い方)。一酸化炭素の話はキャンプの一酸化炭素中毒対策にまとめてある。

濡れていたら、乾くまで待つ

イワタニ・プリムスは、吹きこぼしや雨、夜露で濡れた場合は乾くまで使えず、十分に乾かしてから使えば問題ないとしている。

カセットこんろについては、岩谷産業が点火しないときの手入れを図解している(岩谷産業 カセットこんろのお手入れ方法)。大まかな中身は次の4段だ。

  1. 汁受け皿を外し、本体をひっくり返して軽く振り、バーナーに入った水を出す
  2. 汁受け皿を洗い、本体にこぼれた水分を拭き取る
  3. バーナーと電極まわりの水気を拭く。電極や、汁受け皿の下の配線などの位置は動かさない
  4. ここまでで点かなければ、火を使ってバーナーの内側を乾かす。このとき同社は、ガスより先にガスマッチやライターの火をバーナーのそばで用意し、それからつまみを回してガスを少し出しながら点ける手順を示し、1分ほど燃やして消したら、点火つまみで点くかどうかを確かめるよう書いている

これもカセットこんろの話なので、シングルバーナーでどう乾かすかは製品の説明書に従ってくれ。

ケース3|音もにおいもしない、ガスが出ていない

OD缶のバーナーで、イワタニ・プリムスが挙げる理由

イワタニ・プリムスは「ガスが出ない」ときの理由として、次を挙げている(イワタニ・プリムス よくあるご質問)。

  • ねじ込み過ぎ:コンロを缶にねじ込み過ぎると、器具側のOリングがつぶれて缶のバルブの頭をへこませ、ガスが出なくなる場合がある。締め加減は、自然に止まるところから少しきつめに締めて止める。分からなければ販売店を通じて点検を頼む
  • ノズルの詰まりなどの故障:ジェットニップル(ガスの噴き出し口)の詰まりなど、故障の可能性がある。販売店を通じて修理に出す
  • 気温が低い:Gタイプのガスは5℃以下、Tタイプのガスは-5℃以下(使用中のガスカートリッジの場合は0℃以下)で、缶の中にガスがあっても気化せず出ない場合がある
  • 缶が空

同社は「火力が弱い」ときについて、このうちノズルの詰まりと気温の可能性を挙げている。締め過ぎでガスが出なくなる場合があることは、1つめの項目のとおりだ。

CB缶は、気温が下がると気化しにくい

CB缶(カセットボンベ)も、冷えると中のガスが気化しにくくなる。岩谷産業はカセットこんろのよくあるご質問で、カセットボンベは5℃以下になるとほとんど気化しなくなり、使えないとしている。同じ回答には、それより高い、気化しにくくなり始める温度も書かれているので、あわせて確かめてくれ。CB缶が寒さに弱い理由と缶の選び方は、CB缶とOD缶の違いの記事で扱っている。

同じページで岩谷産業は、カセットこんろのつまみをひねってもガスの音やにおいがしない場合、吹きこぼれなどで詰まった可能性があるとして、炎の出るところを使わなくなった歯ブラシなどでこすって掃除する方法を案内している。これもカセットこんろの話だ。イワタニ・プリムスは自社バーナーのノズルの詰まりなどは販売店を通じて修理に出すよう案内しているので、シングルバーナーでは説明書に従ってくれ。

缶は、その器具に指定されたものを使う

岩谷産業によると、カセットこんろは法令で、指定された専用の器具と容器の組み合わせで使うことになっている。同社は、指定外のボンベではまれに、はまらない、使っている途中で火が弱まる、はじめから火がつかない、漏れる、といったことが起きるとしている。缶を替えてから点かなくなったなら、器具が指定している缶かどうかを確かめてくれ。

やってはいけない|缶を温める・器具を囲い込む

火がつかないと、缶を温めたくなる。だがNITEは、ガスの出が悪くて火がつきにくいときに、ボンベをファンヒーターのような暖房器具で温めるのは「絶対にやめて」と呼びかけている。熱で缶の中の圧力が上がり、缶がもつ限界を超えると破裂するおそれがあるという。状況によっては大きな炎を伴うこともあり、火災事故も起きているとしている(NITE 製品安全情報マガジン「カセットボンベの事故」)。

同じ号でNITEは、着火しやすくなると考えて石油ファンヒーターの温風の吹き出し口近くにボンベを置き、破裂して窓ガラスが割れ、頭にやけどを負った事故を紹介している。

日本ガス石油機器工業会も、アウトドア用ガス器具について次のような使い方をしないよう挙げている。

  • ガスカートリッジを、火気や他の熱源(ヒーター、こんろなど)の近くに置く
  • カートリッジが過熱する使い方:風よけが目的であっても、ガス器具とガスカートリッジの全体を囲むこと
  • こんろなどを2台以上並べて使う

同会は、どれもガスカートリッジが過熱して爆発などのおそれがあるとしている。風で火がつかない日に、風防で器具と缶の全体を囲むのは2つめに当たる。ここに挙げたのは、同会のページのうち火がつかないときにやりがちなものを拾った一部だ。

点火したら大きな炎が出た|いったん消して、缶を落ち着かせる

火がつかないと思って缶を振ったり、持ち歩いたりしたあとに点火すると、今度は炎が大きく上がることがある。イワタニ・プリムスは、点火したときや燃焼中に突然大きな炎が噴き出す原因として、次の5つを挙げている(イワタニ・プリムス よくあるご質問)。

  • 新しいカートリッジを使いはじめるとき
  • 缶をぶつけるなど、衝撃が加わったとき
  • 缶を振った、または落としたとき
  • 持ち運んだ直後に使ったとき、火をつけたまま持ち歩いたとき
  • 気温35℃以上のような暑さなどで、缶の中の液体と気体の層が落ち着いていないとき

こうしたときに出た生ガス(気化していない白い霧状のガス)に火がつくと、炎が大きく上がることがあるという。同社の案内は、いったん消火し、カートリッジを水平な場所に置いて、中の液体と気体の層を落ち着かせてから使うことだ。残量を確かめようと缶を振ったなら、すぐには点火しないでくれ。

古い道具は、ゴム部品の劣化も疑う

しばらくしまっていたバーナーで調子が悪いときは、部品の劣化も頭に入れておきたい。

  • イワタニ・プリムスは、器具栓(ガスの栓)の中にはゴム部品やグリスが使われていて、使わなくても年数がたてば傷んで、漏れや詰まりにつながることがあると説明している。そのうえでコンロやランタンの買い替えは、作られてから10年をひとつの目安にしてほしいとしている
  • 缶とつなぐ部分のOリング(ゴムの輪)について、同社は使う回数に関係なく1~2年ごとの交換を勧めている。傷んだOリングのまま使うと、漏れたガスに火が移り、やけど・火災・破裂といった事故になるおそれがあるという
  • 缶そのものは、必ずキャップをしてしまい、使いはじめてから2~3年くらいで早めに使い切るのが同社の案内だ。きちんと保管していても、製造から7年以内が使い切りの目安だとしている
  • NITEも、カセットボンベを使う製品はしまっておくだけで部品が傷み、いざ使うときに漏れが出るおそれがあると注意している。作ってから年数がたった製品は、壊れや変形、傷みがないか見てから使うように、という呼びかけだ。見た目に問題がなくても、カセットこんろ10年・カセットボンベ7年を買い替えの目安にするよう勧められている、とも書いている

使い切れなかった缶の処分はガス缶の捨て方の記事にまとめてある。

修理はどこに頼む?

イワタニ・プリムスは、お客様の修理を直接受ける窓口はなく、購入した販売店か最寄りの販売店に依頼するよう案内している。岩谷産業は、カセットこんろが点火しない場合の対処を試しても改善しなければ、同社のお客様相談室に問い合わせるよう書いている。窓口はメーカーで違うので、手持ちのバーナーの説明書やメーカーのサポートページで確かめてくれ。

まとめ

  • カセットボンベを付けたあとに異音や異臭などがしたら、ただちに使うのをやめる(NITE)。シングルバーナーの缶でも同じようにする(この記事の判断)
  • 平地でも火花が飛ばない・スイッチが押せない・音がしない:イワタニ・プリムスは点火装置の破損や電極の距離を理由に挙げ、販売店を通した修理点検を案内している
  • 山や寒い日、濡れたあとにつかない:低温(5℃を下回ると放電の力が落ちる)、高所、濡れ、ガスの勢い。つまみを絞って着火してから火力を上げる(イワタニ・プリムス)
  • ガスが出ない:ねじ込み過ぎ、ノズルの詰まり、低い気温、缶が空(イワタニ・プリムス)。カセットボンベは冷えると気化しにくくなり、5℃以下ではほとんど気化せず使えない(岩谷産業)
  • カセットボンベを暖房器具で温めない(NITE)。風よけのためでも、器具と缶の全体を囲まない(日本ガス石油機器工業会)
  • 缶を振ったり持ち歩いた直後に大きな炎が出たら、いったん消して水平に置き、落ち着かせてから(イワタニ・プリムス)
  • ライターかマッチはいつも持っていく

秋から冬に向けて、朝晩の冷え込みでバーナーの機嫌が変わる時期だ。出かける前に一度家の外で点火を試して、ライターを1本、バーナーと同じ袋に入れておいてくれ。

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2018年11月1日

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