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秋冬のキャンプで電気毛布を使いたい。朝はお湯をすぐ沸かしたい。そう考えたとき、道は2つある。コンセントの付いた「電源サイト」を予約するか、ポータブル電源を持っていくかだ。
どちらがいいかは、人によって答えが変わる。けれど、比べるための材料はそろえられる。電源サイトなら「1泊いくら足すのか」と「何Wまで使えるのか」。ポータブル電源なら「何Wh入っているのか」「何Wまで出せるのか」「どれだけ重いのか」。この記事では、キャンプ場3か所の公式ページと、ポータブル電源メーカー Jackery(ジャクリ)の公式ページから、その数字を並べる。そのうえで、電気毛布と電気ケトルを例に、どの組み合わせなら足りるのかを当てはめてみる。
料金・仕様・販売状況は、2026年9月25日に各公式ページで確かめた時点のものだ。変わることがあるので、予約や購入の前に公式ページで確かめてほしい。
目次
先に答え:見るのは「一晩に使うWh」と「いちばん大きい家電のW」
- 電源サイト……今回見た3か所では、電気の使用料は1泊1,100円(税込)の追加、または電源付きの区画サイトとして料金が別に決まっていた。使える電気の上限は、公表している2か所とも1,500W。量(Wh)の心配はいらないが、W(一度に使える大きさ)には上限がある
- ポータブル電源……場所を選ばず使えるが、使える量は本体の容量(Wh)まで。一度に使える大きさは機種の定格出力(W)まで。容量が大きいほど重くなる
- 足りるかどうか……Jackery は「容量(Wh)×0.8÷家電の消費電力(W)」で使える時間を出す方法を案内している。この式で、自分が使いたい家電と時間を当ててみるのが早い
ここから、それぞれの中身を公式の記載に沿って見ていく。
電源サイトの料金と上限を、3つのキャンプ場の公式ページで並べる
電源サイトの料金の付け方は、キャンプ場によって違う。サイト料金とは別に「電源使用料」を足す形と、電源付きの区画サイトとして料金を分けている形がある。
| キャンプ場(所在地) | 電気の料金(公式ページの表示) | 使える電気の上限 | ほかに書かれていること |
|---|---|---|---|
| OKオートキャンプ場(三重県伊賀市) | 電源使用料 1,100円/泊(料金はすべて税込み表示) | 料金ページには記載なし | 電源付きサイトとして予約する。当日に不要になっても、電源なしには変更できない |
| オートキャンプ銀河(静岡県西伊豆町) | AC電源 1,100円(税込) | 1サイトにつき1口、1500wまで | 引き込み用の延長コード(3~5m)は持参 |
| 竜洋海洋公園オートキャンプ場(静岡県磐田市) | 持ち込みテントのフリーサイト 3,140円/AC電源付区画サイト 5,230円(どちらも宿泊) | 施設案内に「15A1500W、コンセント2口」 | フリーサイトと区画サイトの差なので、この差額がそのまま電気の値段というわけではない |
電源サイトのいいところは、上限の範囲なら量を気にせず使えることだ。電気毛布を一晩つけっぱなしにしても、電池切れは起きない。持っていくのは延長コードで、重い電池を積まなくていい。
その代わり、W の上限は守る必要がある。上限の調べ方と、延長コードまわりの注意はキャンプ場の電源サイトは何Wまで使える?にまとめてある。延長コードにもそれぞれ上限があるので、サイトの上限だけ見て安心しないでほしい。
もう1つ、当たり前のことだが、電源サイトは予約できたときにしか使えない。OKオートキャンプ場のように、当日に電源なしへ切り替えられないところもある。
Jackeryの3機種を、容量・定格出力・重さ・充電時間で並べる
ポータブル電源は、中に入っている電気の量(容量・Wh)と、一度に出せる大きさ(定格出力・W)の2つで、使える家電が決まる。Jackery の公式の製品ページから、容量の違う3機種を並べる。
| 機種 | 容量 | 定格出力 | 重さ | ACコンセントからの満充電 |
|---|---|---|---|---|
| ポータブル電源 240 New | 256Wh | 300W | 約3.6kg | 1.9時間(緊急充電モードでは最速1時間) |
| ポータブル電源 500 New | 512Wh | 500W | 5.7kg | 70分(同じページに「ACコンセントで最速1.3時間でフル充電可能」と書かれた箇所もある) |
| ポータブル電源 1000 New V3 | 1024Wh | 1500W | 約10.6kg | 73分(通常のAC充電で約1.25時間と書かれた箇所もある。緊急充電モードで最短約50分とあるのは、ACとソーラー/DC入力を同時につないだ場合) |
3機種とも、製品ページではリン酸鉄リチウム(LFP)電池を使うと書かれている。1000 New V3 は、2026年9月25日の時点で、製品ページの黒(JE-1000G)に「予約販売・10月上旬より順次発送」、白(JE-1000G-WH)に「売り切れ」と出ていた。キャンプの日取りが決まっているなら、届く時期も確かめておきたい。
Jackery は、使える時間の計算を解説したページで、キャンプ用の容量の目安を人数と調理家電の有無で分けて示している。
- 1~2人で、調理家電を使わない……200~500Wh以上(240 New、600 Plus など)
- 1~2人で、調理家電を使う……1,000Wh以上(1000 New など)
- 3人以上で、調理家電を使わない……500Wh以上(600 Plus など)
- 3人以上で、調理家電を使う……1,500Wh以上(2000 New など)
同じページには、キャンプ場で本体をコンセントから充電できるのは電源サイトがある場合だけだ、という注意もある。そのうえで、予算に余裕があるなら、ソーラーパネルと組み合わせたセットを選んで現地でも充電できる形にしておく、という手を挙げている。1泊なら家で満充電して出れば済むが、連泊するなら、どこで充電するかまで決めておく必要がある。
各機種の最新の価格と在庫は、公式ストアで確かめてほしい。
通販サイトの取り扱いと比べたいときは、こちらから探せる。
電気毛布と電気ケトルで当てはめる(ここからは筆者の計算)
Jackery の計算ページが案内している式は、次のとおりだ。
使える時間 = 容量(Wh)× 0.8 ÷ 家電の消費電力(W)
0.8 を掛けるのは、電力のロスが出るため、入っている容量のすべてを家電で使えるわけではないから、とページには書かれている。同じページは、この式で出る時間は理論上の参考値で、実際は使う環境や条件、機種で変わるとも断っている。
電気毛布(55W)の場合
240 New の製品ページのよくある質問には、電気毛布(55W)が約3.7時間とある。式で確かめると、256Wh × 0.8 = 204.8Wh。これを55Wで割ると約3.7時間になり、ページの数字とそろう。
ほかの2機種は、使える量が 240 New の何倍かで考えると早い。
- 500 New……512Wh × 0.8 = 409.6Wh。240 New の2倍なので、3.7時間 × 2 = 7.4時間(500 New の製品ページのよくある質問には、電気毛布(55W)が約7時間以上とある)
- 1000 New V3……1,024Wh × 0.8 = 819.2Wh。240 New の4倍なので、3.7時間 × 4 = 14.8時間
2人がそれぞれ電気毛布を使うなら、同時に2枚ぶんの電気を使う。1000 New V3 でも 3.7時間 × 4 ÷ 2 = 7.4時間になる。これを、自分が寝ている時間と並べてみてほしい。
なお、電気毛布の消費電力は製品で違う。ここでは Jackery のページの例にそろえて55Wで計算したが、手持ちの製品の表示(定格消費電力)で計算し直してほしい。
1つ気をつけたいことがある。Jackery の同じ計算ページに載っている使用時間の一覧表では、1000 New(容量1070Wh)の電気毛布(55w)が12時間、500 New が7時間となっている。どちらも上の式で出る値より短く、1000 New のほうが差が大きい。一覧表がどんな条件で出した数字かは、ページに書かれていない。筆者の考えでは、ぎりぎりの計算で機種を決めず、短いほうの数字でも足りるかを見ておくほうが安心だ。
電気ケトル(1,250W)の場合
ティファールの電気ケトル「パフォーマ 1.5L」の取扱説明書では、定格消費電力は1250Wだ。
- 240 New(定格出力300W)と 500 New(定格出力500W)は、定格出力が 1,250W に届かない
- 1000 New V3(定格出力1500W)は、定格出力の範囲に入る。製品ページのよくある質問には、消費電力が1500W以内の機器なら使えるとしたうえで、冷蔵庫・電子レンジ・ドライヤー・電動工具など起動時に大きな電力が要る機器は使えない場合がある、と書かれている
電源サイトで同じケトルを使う場合、上限が1,500Wなら、1,500W − 1,250W = 250W。お湯を沸かしている間、同時に使えるのは残りの 250W ぶんだけになる。電気毛布とケトルを同時に使う場面があるなら、その合計で考えておきたい。
なお、ティファールの取扱説明書は、この製品を一般家庭用とし、必ず屋内で使うよう書いている。キャンプ場のような屋外での使用は、メーカーの想定の外ということだ。電源サイトでもポータブル電源でも、この点は変わらない。家電を持っていく前に、その家電の取扱説明書を読んでから決めてほしい。
カタログの容量どおりに使えないとき(劣化・保護モード・寒さ)
Jackery の計算ページは、計算どおりに使えない理由として、次の点を挙げている。
- 充電と放電を繰り返すうちに電池は劣化し、ためられる量が下がる。高温・低温での使用や充電、満充電での保存、残量が少ないままの放置などは、劣化を早める
- 一部の製品では、充電を容量の85%までに抑える「バッテリー保護モード」を選べる。選んでいる場合は、使える時間に0.85を掛ける
- 満充電で置いていても、自然放電で少しずつ減る。定期的に充電して減った分を補うこと、長く置いた本体はすぐに使わず一度充電することを勧めている
- 同じ家電でも、モードによって消費電力が変わる。いちばん強いモードを使うことがあるなら、その数字で計算する。強いモードを使わないなら、使うモードの数字で計算すればよい、とも書いている
寒さについては、Jackery の動作・保管温度のページが、リン酸鉄リチウムイオン電池の製品について、充電温度を0~45°C、周りが0°C未満のときは充電しないよう書いている。使用(放電)については、45°C以上または-10°C以下では使用しないよう求めている。
ただし、使える温度は機種で違う。同じページの機種別の一覧では、240 New が充電0~45°C・動作-10~45°C、500 New が充電・動作とも-20~45°Cとなっている。500 New の製品ページも、-20~45°Cの範囲で充電と放電ができるとしている。1000 New V3 はこの一覧に載っていないが、製品ページでは充電も放電も-10~45°Cで使えるとしている。冬キャンプで電気毛布のために持っていくなら、使う機種の数字を夜の最低気温と並べて確かめておきたい。同じページは、環境湿度0~60%RHで結露しないこととし、急な温度変化で結露すると内部の回路がショートして故障につながるおそれがあるとも書いている。
家での置き方と、しまうときの残量についてはポータブル電源の保管方法でまとめている。
どちらを選ぶかの分かれ目
ここまでの数字から、分かれ目になりそうなところを並べる。ここからも筆者の整理だ。
- 電源サイトが向きやすい場面……行きたいキャンプ場に電源サイトがあり、予約が取れる。電気毛布を一晩中つけたい。車でサイトまで入れて、延長コードを持っていける。年に行く回数が少なく、本体を買うほどではない
- ポータブル電源が向きやすい場面……電源サイトの無いキャンプ場にも行く。電源サイトの予約が取れないことがある。使うのはスマホの充電や照明、電気毛布くらいで、容量の範囲に収まる。家でも停電への備えとして置いておきたい
- 使い分ける……電源サイトが取れた日はそこから使い、取れない日や電源サイトの無いキャンプ場ではポータブル電源を使う、という分け方もある。電源サイトでポータブル電源を充電するなら、筆者の考えでは、その充電に使う分も上限の中で見ておくほうがいい
お金の比べ方は、電源サイトなら「1泊の追加料金 × 年間の泊数」、ポータブル電源なら「本体の価格」だ。本体の価格はセールで大きく動くので、この記事には書いていない。買う前に、その時点の価格で自分の泊数と並べてほしい。
ポータブル電源そのものの選び方(電池の種類や出力ポートなど)は、ポータブル電源のキャンプ用選び方完全ガイドで扱っている。
持ち込む前に:リチウムイオン電池の火災を防ぐ3つの点(NITE)
製品評価技術基盤機構(NITE)は、2025年6月26日(令和7年6月26日)に、リチウムイオン電池を積んだ製品の火災事故について注意を呼びかけている。数えているのはポータブル電源だけではない。スマートフォン、モバイルバッテリー、電動アシスト自転車なども含めた、リチウムイオン電池を積んだ製品全体の件数で、2020年から2024年の5年間にNITEへ通知された事故は1860件、そのうち約85%(1587件)が火災事故になった。気温が上がる春から夏に増え、6月~8月に最も多くなる傾向があるとしている。
NITE が挙げている3つの点を、自分の言葉でまとめる。
- 正しく買う……連絡先のはっきりしたメーカー・販売店から買う。リコールの対象でないかを確かめ、買ったあとも新しい情報を追う。安い非純正バッテリーには危険があることを知っておく
- 正しく使う……高い温度の場所に置きっぱなしにするなど、熱を与えない。強い衝撃を与えない
- 正しく対処する……充電中や使用中はときどき様子を見て、おかしいと感じたらすぐに止める。万一燃えたら、大量の水で消し、できるだけ水に沈めた状態にして、119番に通報する
キャンプに当てはめると、夏の車内に置いたままにしないことが「熱を与えない」に、積み下ろしで落とさないことが「強い衝撃を与えない」に当たる。
まとめ:数字を2つ出してから決める
- 電源サイトは、今回見た3か所では1泊1,100円(税込)の追加、または電源付き区画として料金が別。上限は公表している2か所とも1,500W。当日に電源なしへ変えられないところもある
- ポータブル電源は、容量(Wh)で使える量が、定格出力(W)で使える家電が決まる。Jackery の3機種は 256Wh/300W、512Wh/500W、1024Wh/1500W で、重さは約3.6kgから約10.6kgまで
- 使える時間は「容量 × 0.8 ÷ 消費電力」。55Wの電気毛布なら、240 New で約3.7時間、1000 New V3 はその4倍で約14.8時間。ただし公式の一覧表には式より短い数字の行もある
- 1,250Wの電気ケトルは、定格出力が1500Wの 1000 New V3 なら範囲に入り、300W・500W の機種では届かない
- 寒さへの強さは機種で違う。Jackery の温度のページでは、240 New は充電0~45°C・動作-10~45°C、500 New は充電・動作とも-20~45°C。1000 New V3 は製品ページで充電・放電とも-10~45°C
「一晩に使うWh」と「いちばん大きい家電のW」。この2つを出してから、電源サイトの料金ページと、ポータブル電源の仕様ページを開いてほしい。数字が並べば、どちらが自分に合うかを比べやすくなる。
参考にした情報源
- Jackery Japan 公式ブログ(使える時間の計算のページ)(使える時間の式、計算どおりにならない理由、使用時間の一覧表、キャンプ用の容量の目安)
- Jackery Japan「ポータブル電源 240 New」(容量・定格出力・重さ・充電時間・電気毛布の使用時間)
- Jackery Japan「ポータブル電源 500 New」(容量・定格出力・重さ・充電時間・電気毛布の使用時間・使える温度)
- Jackery Japan「ポータブル電源 1000 New V3」(容量・定格出力・重さ・充電時間・使える機器・使える温度・販売状況)
- Jackery Japan「動作・保管温度」(充電温度・放電温度・機種別の温度・湿度)
- OKオートキャンプ場「ご利用料金」(電源使用料、電源なしへの変更)
- オートキャンプ銀河「料金のご案内」(AC電源の料金と上限、延長コード)
- 竜洋海洋公園オートキャンプ場「料金案内」(サイト利用料)
- 竜洋海洋公園オートキャンプ場「AC電源付区画サイト」(電源の上限とコンセントの数)
- ティファール「電気ケトル パフォーマ 1.5L 取扱説明書」(PDF)(定格消費電力、使用上の注意)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「夏バテ(夏のバッテリー)にご用心」(令和7年6月26日。リチウムイオン電池を積んだ製品の火災事故を防ぐ3つのポイント)


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