インフレーターマットのバルブを開けたのに、ぺたんこのまま。穴が開いたのかと疑う前に、確かめておきたいことがある。
この記事では、モンベルの「キャンプパッド 100 シリーズ」の取扱説明書と、自動膨張式マットを作っているサーマレストの解説を読んで、膨らまないときに見る順番と、次のシーズンにちゃんと膨らませるための保管をまとめる。
穴そのものの探し方と直し方は、エアマットの穴の修理方法で扱っている。こちらは「穴ではない膨らまなさ」と「しまい方」の記事だ。
先に結論:膨らまないときに見る順番
| 状況 | 考えられること | やること |
|---|---|---|
| 開けてすぐ | まだ時間が足りない | 広げてバルブを開け、ほかの設営をしながら待つ |
| 買ったばかり | 空気を抜いて出荷されていて、中のフォームが戻りきっていない | 使う前に家で膨らませて置いておく(下で詳しく) |
| 寒い日 | 気温が低いと膨らみが遅くなることがある | 広げたマットの上にしばらく横になってフォームを温める(モンベルの説明書) |
| 収納袋に入れたまま長くしまっていた | 縮んだ形をフォームが覚えている | 新品と同じように、使う前に膨らませて戻す。次からは広げて保管 |
| 待っても、いつも少し柔らかい | 自動膨張は、もともと満タンまで膨らむ作りではない | 好みの硬さまで、ポンプバッグや息で足す |
表の右の列を試しても空気が抜けていくなら、そこで初めて穴やバルブを疑う。
インフレーターマットが膨らむ仕組み
サーマレストの解説「自動膨張式マットはどう膨らむのか」によると、自動膨張式マットは、連続気泡のウレタンフォームを空気を通さない生地で包み、空気の出入り口をバルブにした作りだ。
同じページによると、フォームを押しつぶすと中の空気が外へ出る。押す力がなくなると、空になった気泡に、外の気圧が空気を押し込む。これが「自動膨張」で、バルブは空気の出入りのただ一つの通り道として、その出入りを開け閉めする役目を持つ、という説明だ。
サーマレストの自動膨張の意味についての解説は、同じことを別の側から書いている。押しつぶされたフォームが元に戻ろうとする性質が、マットの中へ空気を引き込む、という言い方だ。
モンベルのキャンプパッド 100 シリーズ 共通取扱説明書(PDF)も、このマットは中のフォームが元に戻ろうとする力を使い、半自動的に空気を吸い込む、と書いている。
ここからは筆者の読み方です。ここが分かると、膨らまない理由も見えてくる。フォームの戻る力が弱っている、または戻るのを外の条件が邪魔しているときに、膨らみが遅くなる。
膨らむまでの時間と、遅くなる条件
サーマレストの同じ解説によると、同社の自動膨張式マットが自力で膨らむのにかかる時間は、おおむね5〜15分。この10分ほどの幅は、おそらく次のどれかによるもの、とメーカーは書いている。
- 中のフォームの作り:フォームの量が多いほど時間がかかる。例として、同じ作りのフォームを使うMondoKingとProLite Apexでは、ProLite Apexの倍の厚さがあるMondoKingのほうが膨らむのに長くかかる、と書いている
- 巻いたままにしていた期間:何か月も固く巻いてしまっておいたマットは、1日だけ巻いていたマットより時間がかかる
- 標高:高い場所では気圧が低く、フォームに空気を押し込む力が弱い。ただし標高ごとの差はメーカーも測っておらず、物理の考え方として少しは遅くなる、という書き方だ
- 気温:寒いとウレタンがしなやかさを失い、膨らむのに時間がかかる
サーマレストの「マットの膨らませ方」は、キャンプ場に着いたらすぐマットを広げてバルブを開け、ほかの作業をしているあいだにフォームに仕事をさせる、という使い方を勧めている。待つ時間を、待つ時間にしないやり方だ。
寒い日は、上に横になって温める
モンベルのキャンプパッド 100 シリーズの取扱説明書は、注意の欄で、寒いときに膨らみが遅れることがあるとしたうえで、対処も示している。広げたマットにしばらく寝転ぶなどして、中のフォームを温めること。そうすると膨らみやすくなるという。
冬キャンプでは、着いたらすぐ広げる、というサーマレストの勧めと組み合わせるとよい。冬にマットの断熱をどこまで求めるかは、冬のソロキャンプは何度まで?で寝袋の温度表示とあわせて整理している。
新品と、長くしまっていたマットは、使う前に家で膨らませる
モンベルの取扱説明書によると、キャンプパッド 100 シリーズは空気を抜いた状態で出荷されている。そのため、初めて使う前にマットを膨らませ、空気を入れた状態で一晩置いて、フォームのクッション性と復元力を戻すように、と書いている。
同じ説明書は、空気を抜いて収納袋に入れたまま長いあいだしまっておいた場合にも、使う前に同じ手順でクッション性と復元力を戻すよう求めている。
サーマレストも、新品のときのひと手間を書いている。ただし記事によって書き方が違うので、並べておく。
| 出典 | 新品のときにやること |
|---|---|
| モンベル(キャンプパッド 100 シリーズの説明書) | 膨らませて、空気を入れた状態で一晩置く |
| サーマレスト(自動膨張の意味についての解説) | 最初に使う前に、広げてバルブを開け、少なくとも24時間置く |
| サーマレスト(膨らませ方の解説) | 息かポンプサックで満タンにして、数時間そのままにする |
どれも「使う前に、家でフォームを広げておく」という点は同じだ。サーマレストの自動膨張の意味についての解説は、そうしておくと次に巻いて持ち出したときに、膨らんだ状態をフォームが覚えていて、よく膨らむ、と理由も書いている。
ここからは筆者の読み方です。何時間置くかは、手元のマットの取扱説明書を先に見て決めるのがよい。上の表のとおり、同じメーカーの中でも書き方が分かれている。キャンプ前日に買って当日に初めて広げる、という段取りだけは避けたい。
サーマレストの仕組みの解説は、長く縮んでいたフォームには、息を何回か吹き込んで呼び水にするのが役立つとも書いている。車の押しがけのように、一度きっかけを作ると、あとは設計どおりに膨らんでいく、という説明だ。
「満タンまで膨らまない」のは、作りのとおり
待っても、いつも少し柔らかい。これを故障だと思う人もいるが、メーカーは別の説明をしている。
モンベルの取扱説明書は、半自動的に空気を入れる手順のところで、この方法では完全に膨らませることはできない、と断っている。さらに膨らませる場合は、収納袋を兼ねたポンプバッグで空気を送り込む手順になっている。
サーマレストの仕組みの解説も同じ向きだ。自動膨張はバルブを開けたときに始まり、フォームの中の空気と外の気圧がつり合ったところで止まる。メーカーの経験では、たいていの使い手が心地よいと感じる硬さは、そのつり合いの点より空気が多い状態だ。そのため自動膨張式マットは満タンまでは膨らまないし、もともとそう作っていない、と書いている。
最後のひと押しは、ポンプバッグや息で、自分の好みの硬さに合わせる。
足すときの注意も、モンベルの取扱説明書に2つある。高圧ポンプやコンプレッサーは絶対に使ってはいけない(壊れるおそれがあるため)。そして、空気をぎりぎりまで入れたマットに、いきなり強い力をかけてはいけない(中のフォームが壊れるおそれがあるため)。
ここからは筆者の読み方です。硬めが好きでも、空気をいっぱいまで入れたマットに勢いよく座ったり飛び乗ったりするのは、この注意に当たりそうだ。
保管は「広げて、バルブを開けて」
しまい方によっては、次のシーズンに出したときに膨らみの反応が鈍くなる、とサーマレストは書いている。モンベルとサーマレストの説明を、手入れ・保管の順に並べる。
1. 汚れを落とし、乾かしてからしまう
モンベルの取扱説明書によると、汗や皮脂などの汚れが付いたら、使ったあとすぐ中性洗剤で洗う。汚れを放っておくと、染み込んで生地がはがれ、空気漏れの原因になるという。
洗い方も書いてある。マットを最大限に膨らませてバルブをしっかり閉じ、毛の柔らかいブラシと家庭用の中性洗剤で、30℃以下のぬるま湯を使って洗う。洗ったら十分にすすぎ、完全に乾かす。しまうときは十分に乾かしてから、とも書いている(生地の劣化やカビの原因になるため)。
同じ説明書は、使うときに頭や肌が表地に直接当たらないよう、タオルなどをかぶせることも勧めている。整髪料や頭の皮脂が染み込むと、生地がはがれるのを早めるおそれがあるからだ。日焼け止めや塩素を含む薬品が付かないように、という注意もある。
サーマレストの「マットと寝袋のしまい方」も、汚れや皮脂がマットを早く傷めると書いている。皮脂に含まれる脂肪酸が、生地の下のフィルムをべたつかせることを、同社は調べて確かめたという。
2. 直しておく
キャンプ場で間に合わせに貼った補修は、シーズンオフのうちに直しておく。自分で直すのが難しければメーカーの修理に出す道もある、とサーマレストの同じページは書いている。補修のやり方はエアマットの穴の修理方法にまとめてある。
3. 広げて、バルブを開けて、湿気のない場所に
ここがいちばん大事なところだ。モンベルの取扱説明書は、長くしまっておくときの置き方として、湿気のない場所に、マットを広げてバルブを開けた状態で置くよう書いている。ふだんから広げておくことでフォームが膨らみ、復元力が高まる、という理由つきだ。
サーマレストの「マットと寝袋のしまい方」も、フォーム入りの自動膨張式マットは平らに広げてバルブを開けて保管するのがよく、固く巻いてバルブを閉め、長いあいだ縮めておくと、次のシーズンに出したときに膨らみの反応が鈍くなる、と書いている。
モンベルの説明書は、置き場所についても書いている。
- 直射日光の当たらない、風通しのよい場所。湿度が高くならないところ
- 直射日光のあたる庭の物置には置かない
- 車内や車のトランクなど、高温になる場所には置かない
- 濡れたまま長期間放っておかない
- 刃物や鋭い物に触れさせない
サーマレストは広げて置く場所の例として、ベッドの下、クローゼットの中や奥、ソファや本棚の裏、いつも開けたままのドアの裏、棚の上を挙げている(自動膨張の意味についての解説と、しまい方のページ)。
膨らませたまま車やテントに置かない
保管とは別に、使っている途中の注意もある。モンベルの取扱説明書は、気温の高い日に膨らませてバルブを閉めたマットを、車内やテント内に置いたままにしないよう書いている。パンクの原因になるという。
ここからは筆者の読み方です。車中泊でマットを使う人は、車に積みっぱなしにせず、家に戻したら広げておくところまでを片付けに入れておきたい(車中泊の寝床づくりは車中泊キャンプ完全ガイド)。昼間にテントを空けるときも、閉めきったテントの中にパンパンのマットを残していかないほうがよい。
それでも膨らまない・すぐしぼむとき
時間をかけ、家で膨らませて戻しても膨らまない。あるいは膨らんでも、寝ているうちにしぼむ。その場合は、穴やバルブまわりからの空気漏れを疑う段階になる。
モンベルの取扱説明書は、使う前に毎回、穴が開いていないか・生地がはがれていないか・バルブが壊れていないか・空気が漏れていないかを確かめ、異常があれば使わないよう書いている。
石けん水で穴を探す方法や、自宅での補修の手順は、エアマットの穴の修理方法で順を追って書いている。マットの種類そのものを見直したいときは、キャンプマットの選び方も参考にしてほしい。
まとめ
- 自動膨張式マットは、つぶれたフォームが元に戻るときに空気が入って膨らむ。サーマレストの説明では、自力で膨らむのにおおむね5〜15分かかる
- サーマレストが時間の幅の理由として挙げるのは、フォームの作り(量が多いほど遅い)・巻いたままの期間・標高・気温。モンベルは、気温が低いと膨らみが遅くなることがあり、上に横になって温めると膨らみやすいと書いている
- 新品と、収納袋に長く入れていたマットは、使う前に家で膨らませて戻す。モンベルは「一晩」、サーマレストは記事によって「24時間以上」「満タンで数時間」。手元のマットは取扱説明書を先に見る
- 自動膨張だけでは満タンにならない作り。最後の硬さはポンプバッグや息で足す。モンベルは高圧ポンプ・コンプレッサーを使わないこと、空気をぎりぎりまで入れた状態で急に強い力をかけないことを注意している
- 汗や皮脂は使ったあとすぐ中性洗剤で落とし、十分に乾かしてからしまう
- 長くしまうときは、広げてバルブを開け、湿気のない場所に。車内やトランク、日の当たる物置は避ける。気温の高い日に、膨らませてバルブを閉めたまま車やテントに置かない
参考にした情報源
- モンベル キャンプパッド 100 シリーズ 共通取扱説明書(PDF)(2026年10月9日確認)
- サーマレスト(Cascade Designs)自動膨張式マットの仕組みについての解説(英語)(2026年10月9日確認)
- サーマレスト(Cascade Designs)マットの膨らませ方(英語)(2026年10月9日確認)
- サーマレスト(Cascade Designs)自動膨張の意味についての解説(英語)(2026年10月9日確認)
- サーマレスト(Cascade Designs)マットと寝袋のしまい方(英語)(2026年10月9日確認)




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