焚き火の服装を調べると、どのサイトも同じことを書いている。「化繊は溶けて穴があくからNG、コットンかウール、あるいは難燃素材を選べ」。
これは半分だけ正しい。火の粉が飛んできて生地に穴があく話としては合っている。だが、服に火が燃え移って体に届く話としては、むしろ逆を向いている。消費者庁が危ない生地として名前を挙げている中に、パイル・タオル地や起毛した生地と並んで、綿やレーヨンなど植物繊維の素材が入っているからだ。
この記事で使う資料は3つに絞った。公的機関が公表している資料、消防庁の指導のもとで防炎製品を認定している公益財団法人 日本防炎協会の資料、そして学会の論文集に載った論文だ。この3つで、2つの被害を分けて整理する。焚き火の火の起こし方や道具全体は焚き火のやり方完全ガイドにまとめてあるので、ここでは「何を着るか」の1点だけに絞る。
目次
先に結論|素材名ではなく「毛羽立ち・だぶつき・防炎」で決める
忙しい人のために、先に答えを置いておく。
- 被害は2種類ある。「服に穴があく」(衣類の被害)と「服に火が燃え移る」(体の被害)は、原因も対策も別物だ
- 穴があくのが嫌なら、外側の1枚を綿・ウール・難燃素材にする。これは世間で言われているとおり
- 体に燃え移るのを避けたいなら、素材名ではなく生地の表面を見る。消費者庁が挙げているのは、パイル・タオル地、起毛した生地、綿やレーヨンなど植物繊維、そして着古して毛羽立った服だ
- 袖口・裾が広がった服、垂れ下がるものは外す。火に近づいたつもりがなくても、手を伸ばす・かがむ動作で服のほうが火に届く
- いちばん確実なのは「防炎製品ラベル」が付いたものを1枚持つこと。ただし「防炎」は「不燃」ではない
つまり、焚き火用に1枚選ぶなら「毛羽立っていない綿・ウール」か「防炎ラベル付き」が、2つの被害の両方に対して無難な線になる。表を起毛させた綿のトップスは、穴には強いが燃え移りには弱い、という中途半端な位置にいる。
ただし先に釘を刺しておく。毛羽立っていない綿を着れば火が移らない、という意味ではない。綿は溶けないだけで、燃える。後で詳しく書くが、この記事で選べるのは「危ない条件を減らす」ところまでで、素材で安全が買えるわけではない。
焚き火の服の被害は2種類ある。「穴があく」と「燃え移る」は別の話
まず、この記事がなぜ世間と違うことを言っているのかを説明しておきたい。
キャンプ系のメディアが扱っているのは、ほぼすべて「火の粉が飛んできて、生地に小さな穴があく」という話だ。焚き火から爆ぜた小さな火の粉が、ジャケットやパンツに着地して、そこだけ穴があく。お気に入りのフリースがみるみる穴だらけになる、という被害である。これは実際によく起きるし、腹も立つ。
一方で公的機関が注意喚起しているのは、「服そのものに火がついて、燃え広がる」という話だ。これには「着衣着火」という名前が付いていて、消費者庁と消防庁が繰り返し警告している。穴があくのは服の被害で済むが、こちらは体の被害になる。
そして厄介なことに、この2つは対策が同じ方向を向いていない。穴に強い生地が、燃え広がりにも強いとは限らない。「耐熱」と「断熱」がまったく別の性能であることを焚き火シートの記事で書いたが、あれと同じ話が服でも起きている。言葉が似ているせいで、ひとまとめに語られてしまうのだ。
数字で見る|着衣着火の死者は6年で572人。行動別の集計では「たき火中」が92人
消費者庁が2021年11月に出した注意喚起に、別添のデータ集が付いている。まずは総務省消防庁の消防統計(火災統計)を消費者庁が集計した部分から。
- 平成27年から令和2年までの6年間で、火災による死者は6,944人(放火自殺者等を除く)
- そのうち着衣着火によるものが572人。全体の約8%にあたる
- その572人のうち、65歳以上が493人。8割以上が高齢者だった
ここまでなら「お年寄りの台所の話だろう」と思うかもしれない。ところが内訳を見ると、印象が変わる。こちらは出典が別で、同じく消防庁が出している「火災の実態」のほうから、平成27年から令和元年までの477人を、何をしている最中だったかで分けた数字だ。
先に断っておくと、上の572人は6年分、こちらの477人は5年分で、集計の期間も出典も違う。足したり引いたりできる数字ではない。
- たき火中 … 92人(19%)
- 炊事中 … 68人(14%)
- 喫煙中 … 27人(6%)
- 採暖中 … 23人(5%)
- その他火気取扱中 … 145人(30%)/その他 … 122人(26%)
件数だけなら「その他火気取扱中」145人と「その他」122人が上に来るが、この2つは中身が特定できない区分なので比べようがない。何をしていたかが分かっているものに限れば、たき火中が最も多い。着衣着火といえば台所のこんろ、というのが一般的なイメージだが、この内訳では屋外の火のほうが上に来ている。消費者庁も、この数字を挙げて屋外での着衣着火への注意を促している。
ただし、この92人は「キャンプの焚き火」の数字ではない
ここは正直に書いておきたい。この「たき火中」92人が、キャンプ場での焚き火だったという意味ではない。
同じ資料の別のページに、医療機関から寄せられた86件の事故を「行動別」に分けた表がある。そこでの項目名は「焼却・野焼き・たき火」でひとくくりになっており、21件が該当する。実際の事故事例として載っているのも、畑でごみを燃やしていた、野焼き中にバーナーの火がズボンに移った、といった内容だ。この86件のうち65歳以上は49件で、6割弱にあたる。
だから「毎年92人のキャンパーが焚き火で亡くなっている」と読むのは間違いだ。正確には「何をしていたかが分かっている区分に限れば、たき火中がいちばん多い」ということになる。中身が特定できない「その他火気取扱中」145人と「その他」122人まで並べれば、たき火中の92人は3番目だ。
それでもこの数字を紹介する意味はある。着衣着火の注意喚起は、資料を読んでいくとどうしても台所寄りになる。たとえば東京消防庁のリーフレットが挙げているのは住宅内のデータで、こんろが約8割だ。屋内だけ見ればそのとおりなのだが、屋外で火のそばに立っている時間が長い俺たちは、その注意喚起の対象からこぼれ落ちやすい。焚き火は「火のそばに何時間も座り続ける」という、なかなか珍しい遊びなのだ。
表面フラッシュ|綿やレーヨンの起毛が、1秒で燃え広がる
ここからが本題だ。消費者庁の注意喚起は、危ない服装として「表面フラッシュ」という現象を名指ししている。
表面フラッシュとは、布の表面から細い繊維が起き上がっている状態のときに、ごく小さな炎が当たっただけでその毛の部分が燃え出し、瞬間的に生地の上を火が駆け抜けてしまう現象を指す。毛羽の1本1本は細く、体積のわりに空気と接する割合が大きい。だから火がつくと一気に燃え切ってしまう。
どのくらい速いか。消費者庁の資料は、神戸市が公開している実験動画を引いて、着火から約1秒で服の全体に燃え広がると説明している。学術的な裏付けもあって、東京大学の桑名一徳氏・土橋律氏が日本火災学会論文集に発表した研究によれば、表面フラッシュのときの燃え広がる速度は、通常の燃え広がりの数倍から数十倍に達する。同じ研究では、起毛層の密度が支配的な要因で、密度が一定以上に高いと表面フラッシュそのものが起きなくなることも示されている。
問題は、その「危ない生地」の顔ぶれ
消費者庁が表面フラッシュの起きやすい形状・素材として挙げているのは、次の4つだ。
- パイル地・タオル地
- 表面を起毛した生地
- 植物由来の繊維でできた素材(綿やレーヨンなど)
- 長く着たせいで、表面がけば立ってきた服
3つめを見てほしい。キャンプ界隈が「焚き火には安全」として勧めてきた綿が、そのまま入っている。
矛盾しているように見えるが、そうではない。見ている被害が違うだけだ。綿は熱で溶けないので、火の粉が乗ってもすぐには穴があかない。だから「穴」の話では優等生になる。しかし表面が毛羽立った綿は、いったん炎が触れると火が走る。「燃え移り」の話では危険側に回る。
具体的に言うと、表を起毛させた綿のトップス、フランネルシャツ、ネル生地、着古してけば立った綿のパーカーあたりが、この条件に当てはまる。秋冬キャンプの焚き火の前で、いちばん着られていそうな服でもある。
逆に、同じ綿でも表面が平らに織られたもの――帆布、ダック、ヘリンボーン、目の詰まったツイルなど――は、毛羽が立っていない分だけこの現象からは遠い。表面フラッシュに限れば、「コットンかどうか」ではなく「毛羽立っているかどうか」で分かれることになる。
ただし、ここははっきりさせておきたい。この「毛羽立ちで分かれる」は、消費者庁がそう書いているわけではなく、同庁の列挙と、起毛層の密度を扱った上記の研究を突き合わせた、こちらの読み方だ。消費者庁の資料のほうは、綿やレーヨンなど植物繊維の素材を、起毛の条件を付けずに独立した1項目として挙げている。
「毛羽立っていない綿なら火が移らない」ではない
ここを取り違えると危ないので、繰り返す。毛羽立っていない綿は、表面フラッシュが起きにくいだけで、燃えないわけではない。表面フラッシュは着衣着火のうちの1つの現象であって、着衣着火が起きる条件そのものではない。
実際、消費者庁の資料に載っている16件の事故事例で燃えているのは、ズボン5件、スカート2件、ブラウス・カーディガン・ワンピースが各1件。いちばん多いのはズボンで、あとはごく普通の上着とスカートだ。起毛生地の事例は1件も出てこない。毛羽立ちを避けるのは「一気に燃え広がる経路をひとつ潰す」ことであって、火が移らなくなることではない。
この記事の後半で挙げるチェックは4つある。そのうち素材の話は1つだけで、残りの3つ──だぶつき・燃料・風──は、着方と立ち位置の問題だ。
では化繊なら安全なのか|「穴があく」ほうの話
では逆に、ポリエステルやナイロンのシェルを着ればいいのか。ここも一方的には言えない。
化学繊維は熱で軟化し、溶ける性質を持っている。だから火の粉が乗るとその部分が溶けて穴があく。焚き火をする人にはおなじみの被害だ。
この「溶ける」という挙動が単なる俗説でないことは、防炎製品の試験基準を見ると分かる。日本防炎協会の防炎製品性能試験では、衣服類は生地を垂直に立ててメタンバーナーの炎を約3秒当てる方法で試験される。その合否の条件のひとつに、燃えて溶け落ちたしずくがガーゼに火をつけないことが入っている。つまり、繊維が溶けて落ちること自体が、独立した危険として基準に組み込まれている。寝具類やテント類の試験でも「熱溶融する物」という区分が別立てになっている。
一方で、「溶けた化繊が皮膚に貼りついてやけどを重くする」という説明については、公的機関の一次資料で裏を取ることができなかった。キャンプ系の記事では頻繁に見かける表現だが、消費者庁・消防庁・東京消防庁の資料をあたった範囲では、そう書かれた箇所を見つけられていない。確認できていない以上、この記事では断定しない。
同じ理由で、ポリエステルやナイロンの融点の具体的な数値もここには書かない。公的機関が出している資料の中に見つけられなかったからだ。
「防炎」は「不燃」ではない|ラベルで見分ける
ここまで読むと「じゃあ何を着ればいいんだ」となる。その答えとして公的機関が揃って挙げているのが、防炎製品だ。
ただし、言葉の意味を先に押さえておきたい。「防炎」は「不燃」ではない。消費者庁の説明を要約すると、防炎とは「燃えない」ではなく「燃えにくい」を指す言葉だ。小さな火が触れた程度では燃え上がらず、仮に火がついても自分で消える性質があるので、どこまでも延焼していくことはない。東京消防庁も同じ方向の説明をしていて、防炎品を、火がついても燃え広がりがそこで止まる素材で作られたもの、と位置づけている。
言い換えると、防炎の服を着ていても火はつく。つかないのではなく、燃え広がらずに済む可能性が上がる、という道具である。ここを取り違えると、油断のほうが増えてしまう。
見分け方は「防炎製品ラベル」
市販の焚き火ウェアには「難燃素材」「自己消火性」といった説明が付いていることがある。ただ、それがメーカー自身の説明なのか、第三者の試験を通ったものなのかは、文言だけでは分からない。
公的な区別の目印になるのが、公益財団法人 日本防炎協会が交付している防炎製品ラベルだ。認定対象の品目には衣服類も含まれていて、ラベルは2種類あり、仕上がった製品に付けるものと、縫う前の生地に付けるものが分かれている。責任の所在を示すために事業所番号などが記入される仕組みになっている。
消費者庁は、火が触れても燃え出しにくい防炎製品の例として「エプロンやアームカバーなど」を挙げ、被害の拡大を防ぐのに有効だとしている。とくに高齢の方には着用を検討するよう促している。取扱店は同協会の防炎品取扱店検索から探せる。都道府県と品目で絞り込めて、品目には「衣服類」がある。
もっとも、同協会が「衣服類」の例に挙げている品目は、パジャマ・エプロン・割烹着・アームカバーなど。あくまで例示で、これで全部という書き方ではない。作業服はこれとは別の区分になっている。
では衣服類の認定は実際どれくらいあるのか。協会が公開している防炎製品認定一覧のうち、2021年7月〜2026年6月の20期分を全部開いて数えてみた。この5年間で「衣服類」として新しく製品番号が付いたのは1件(別区分の作業服が3件)。ただしこの表は、その期に新しく番号が付いたものを載せる表であって、以前から認定を受けている製品まで網羅するものではない。だから「キャンプ用のジャケットは無い」とまでは言えない。言えるのは、少なくとも新規登録を見るかぎり衣服類は多くない、というところまでだ。
ラベル付きが手に入らないなら、せめて「毛羽立っていない」「だぶついていない」の2つは自分で選べる。この2つだけでも、資料が挙げる危険側の条件からは1つ外れる。
焚き火の前に、服で見る4つ
資料をもとに、焚き火に火を入れる前のチェックを4つにまとめた。すべて消費者庁の注意喚起が挙げているポイントに対応している。
1. 表面をなでて、毛が立たないか確かめる
見るのはいちばん外側に来る1枚の、外を向いている面だ。パイル・タオル地や起毛生地はそのまま該当する。いわゆる裏起毛は毛羽が内側なので、外を向いている生地が平らならこの条件からは外れる。ただし着古して表面が擦り切れ、けば立ってきた服は、素材が何であれ該当する。手のひらで表をなでて、毛が起きる感触があるなら、その1枚は外側に着ない。
2. 袖口・裾を締め、垂れ下がるものを外す
消費者庁は、火を扱うときの服装として、そで口やすそが開いているもの、ストールのようにぶら下がるものを身に着けないよう呼びかけている。事故事例を読むと、火に近づいたつもりがない場面ばかりだ。手を伸ばした、かがんだ、後ろを向いた。そのときに服のほうが火に届いている。焚き火なら、薪をくべる・トングを取る・ケトルをずらす、といった動作が全部これに当たる。
マフラーやストールは外す。袖口はボタンやベルクロで締める。エプロンの紐が長いなら結び直す。それだけで当たる面積が減る。製品評価技術基盤機構(NITE)も2023年1月の注意喚起で、裾や袖が広がった服、紐の付いた服を避けることを挙げている。
3. 燃料やアルコールが服に付いたまま、火に近づかない
これも消費者庁が明示している。引火しやすい液体が付着した服のまま火を扱うのは危険だ、という項目だ。挙げられている例には、暖房器具に給油する際に燃料を服にこぼしてそのまま点火する、というものがある。
キャンプだと、ホワイトガソリンや灯油をランタン・ストーブに入れる場面がそのまま当てはまる。こぼしたと思ったら、火のそばに戻る前に着替えるか、その1枚を脱ぐ。燃料そのものの扱いはホワイトガソリンと灯油の保管ルールの記事に整理してある。手指消毒用のアルコールも同じ扱いになる。
4. 風のある日は、火を扱うこと自体を見送る
消費者庁は、風のある場所では、いったん火がつくとそこから一気に広がってしまうため危険が大きいとして、屋外で火を使うのを控えるよう呼びかけている。焚き火の場合、風は火の粉が飛ぶ距離にも直結する。
「風が強いから今日は焚き火をやらない」は、立派な判断だ。火を入れない夜の過ごし方は焚き火なしのキャンプの過ごし方にまとめてある。乾燥注意報や火災警報が出ている日も同じ。
服に火がついたときの手順
ここは覚えておく価値がある。消費者庁が公表している対処の順番は、次のとおりだ。
- すぐ脱げるなら脱ぐ。
- 脱げないなら、燃えている部分を叩くか、水をかける。使う水は近くにあるものでいい
- 水がないなら、走り回らずにその場に転がる。燃えている面を地面に押しつけて消す。駆け出すと自分で風を作ってしまい、火の勢いを強めることになる。転がるやり方には、炎が顔のほうへ上がるのを抑える意味もある
- 火が消えたら119番。やけどを負っていることも必ず伝える
キャンプ場では、台所と違って蛇口がすぐ横にない。焚き火のそばに消火用の水を置いておく意味は、薪の始末だけではないということになる。
やけどの手当てで、やってはいけないこと
消火したあとについても、消費者庁は手順を出している。
- 消えたあとも水で冷やし続ける
- 無理に服を脱がせず、服の上から冷やす
- 痛みや刺激が強いときは、水道やシャワーを直に当てず、器にためた水につけて冷やす
- 調味料などを塗らない。かえって傷を重くしたり、あとの治療をやりにくくしたりする恐れがある。消費者庁が載せている事故の記録にも、やけどにアロエや酢を付けていた例がある
- 自己判断で済ませず、医療機関を受診する
最後の1行がいちばん大事だ。ここに書いたのは応急の手順であって、診断ではない。やけどを負ったら医療機関にかかってほしい。
よくある質問
Q. 結局、いちばん無難な焚き火の服装は?
A. いちばん外側の1枚を「毛羽立っていない綿・ウール」か「防炎製品ラベル付き」にするのが、資料が挙げる危険側の条件から一番遠い。中に化繊のインナーやフリースを着るのは構わないが、外に出さないほうが穴の被害は減る。そのうえで袖口と裾を締める。ただし、これで火が移らなくなるわけではない。距離を取り、だぶつかせず、風の日はやらない。効くのはそちらのほうだ。
Q. 安価な難燃ウェアでも意味はある?
A. 個々の製品の性能はここでは判断できない。判断の軸として使えるのは、それが防炎製品ラベルの付いた認定品かどうかだ。ラベルがあれば第三者の試験を通っている。ラベルがなくても「難燃」を名乗る製品はあるので、その場合はメーカーがどんな試験の結果を示しているかを見ることになる。なお、防炎であっても不燃ではない点は変わらない。
Q. 気温で決める服装の記事と、どう使い分ければいい?
A. 9月キャンプの服装のほうは、朝晩の冷え込みに対して何を重ねるかという話だ。この記事は、火のそばに座っているあいだ何を外側に着るかという話になる。気温で中身を決めて、火の条件で外側の1枚を決めると考えると衝突しない。
まとめ
焚き火の服装の話がややこしいのは、「穴があく」と「燃え移る」というまったく別の被害が、ひとつの話として語られているせいだ。分けてしまえば、やることははっきりする。
- 火の粉で穴があくのを避けたい → 外側の1枚を綿・ウール・難燃素材にする
- 体に燃え移るのを避けたい → 毛羽立っていない生地を選び、袖口と裾を締める
- 両方に効かせたい → 毛羽立っていない綿・ウール、あるいは防炎製品ラベル付き
- ただし、どれを選んでも「燃えない服」にはならない。効くのは素材より、距離・だぶつき・燃料・風のほう
- 着衣着火の死者は6年間で572人。別の5年分の行動別の集計では、中身が分かる区分のうち「たき火中」の92人が最も多かった。ただしこれはキャンプ限定の数字ではない
- 表面フラッシュは、着火から約1秒で服全体に広がることがある
- 火がついたら、脱ぐ・叩く・水。水がなければ走らずに転がる
焚き火は、火のそばに何時間も座り続ける遊びだ。持ち物より先に、いま外側に着ている1枚を見てほしい。それだけで済む話が、けっこうある。
参考にした情報源
- 消費者庁「着衣着火に御用心!毎年約100人の方が亡くなっています!」(令和3年11月17日)/本文(PDF)/別添 着衣着火に関するデータ等(PDF)
- 総務省消防庁「消防統計(火災統計)」
- 東京消防庁「STOP!着衣着火」(令和8年1月発行・PDF)
- 公益財団法人 日本防炎協会「防炎製品性能試験」/「防炎製品ラベル」/「防炎製品の種類」/「防炎製品認定一覧」/「防炎品取扱店検索」
- 桑名一徳・土橋律「表面フラッシュの発生限界に関する理論的考察」日本火災学会論文集 Vol.57 No.3(2007)
- 神戸市公式YouTubeチャンネル「着衣着火は一瞬の出来事・・・ これが表面フラッシュだ!」(消費者庁の注意喚起が参照している実験動画)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「“だるだる”“もふもふ”衣服は着火の元!」(2023年1月26日)
統計・注意喚起の記述は上記の一次資料をもとに、当ブログが自分の言葉で要約したものです。数値の正確な文言は各資料をご確認ください。消費者庁・消防庁のコンテンツは公共データ利用規約(PDL1.0)に基づき、出典を記載したうえで参照しています。


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