キャンプと防災で兼用するポータブル電源の容量|停電の3日間に1日どれだけ使えるかから逆算する

キャンプと防災で兼用するポータブル電源の容量|停電の3日間に1日どれだけ使えるかから逆算する

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ポータブル電源をキャンプ用に買うなら、家の停電の備えにもしたい。そう考えたとき、容量はどこに合わせればいいのか。先に答えると、キャンプの目安と防災の目安を並べて大きいほうを取り、次に「停電の3日間で、1日にどれだけ使えるか」を割り算で確かめる。それで足りない家電は、容量を上げるより、電気を使わない別の手段に回したほうがいい場面がある。

この記事では、ポータブル電源メーカー Jackery(ジャクリ)の公式ページが示している容量の目安と使える時間の式、首相官邸と内閣府の家庭の備えの案内を並べ、容量の違う3機種に当てはめる。内容は2026年9月26日に各ページで確かめた時点のものだ。

キャンプだけで使う場合の選び方はポータブル電源のキャンプ用選び方完全ガイドに、電源サイトとの比べ方は電源サイトとポータブル電源、キャンプの電気はどっち?にまとめてある。この記事は、防災と兼ねるときの容量の決め方に絞る。

目次

先に答え:兼用の容量は、この順で決める

  1. 人数で、キャンプと防災の目安を並べる……Jackery の公式ページには、キャンプ用と防災用の目安が人数別に出ている。兼用なら、大きいほうを下限にする
  2. 停電の3日間で割る……使える量(容量×0.8)を3日で割ると、1日に使える量が出る。Jackery は防災用として、最低3日分の電力をまかなえる容量を選ぶよう書いている
  3. 1日に使いたい家電を当てはめる……照明・スマホ・扇風機や電気毛布など、1日に使いたいものが収まるかを見る。冷蔵庫・エアコン・調理家電は、容量と定格出力の両方で壁に当たりやすい
  4. 重さで折り合いをつける……容量を上げるほど重くなる。キャンプに持ち出せる重さかどうかで、上限が決まる

公式の目安を並べる:キャンプと防災で、数字が違う

Jackery 公式ブログの、使える時間の計算を解説したページ(以下「使える時間のページ」)は、防災用とキャンプ用の容量の目安を分けて載せている。

人数 キャンプ用の目安 防災用の目安
1人 調理家電なし:200~500Wh以上
調理家電あり:1,000Wh以上
(1~2人の目安)
200Wh以上
2人 500Wh以上
3~4人以上 調理家電なし:500Wh以上
調理家電あり:1,500Wh以上
(3人以上の目安)
1,000Wh以上

同じページは、防災用の目安について、最低限のスマホ充電や冷暖房の使用を想定したものだとしている。3~4人暮らしで、テレビや炊飯器も使いたいなら、容量は2,000Wh程度をみておくのがよい、とも書いている。

ところが、同じ Jackery 公式ブログの、用途別の容量の目安のページ(以下「容量の目安のページ」)では、数字が違う。

  • 一人暮らしの防災用……容量250Wh~300Wh、定格出力300W
  • 夫婦2人の防災用……600Wh以上
  • 3~4人家族の防災用……2,000Wh以上(冷蔵庫やエアコンを使う必要があること、大規模災害では復旧まで2~3日かかるケースもあることなどを理由に挙げている)
  • キャンプや車中泊……容量600Wh~1,000Wh、定格出力800W~1,500W

どちらのページも、Jackery の公式サイトのブログから読める。同じメーカーの公式ページだが、数字がそろっていない。

容量の目安のページは3~4人家族の理由に冷蔵庫やエアコンを挙げ、使える時間のページは最低限のスマホ充電や冷暖房を想定したとしている。前提が違えば、数字も変わる。

ここからは筆者の読み方です。目安の数字は、どの家電を何時間使う前提なのかとセットでしか意味を持たない。だから次の節で、自分が使いたい家電から確かめる。

「3日分」はどこから来るか

首相官邸の「災害が起きる前にできること」は、電気やガス、水道が止まった場合に備えて、飲料水(1人1日3リットルが目安)と非常食をそれぞれ3日分、人数分備えるよう例を挙げている。大規模災害の発生時には、1週間分の備蓄が望ましいとされている、とも書いている。

このページの備蓄の例は食料・飲料・生活必需品で、ポータブル電源の容量の目安は出てこない。電気については、上で見た Jackery の使える時間のページが、防災用は最低3日分の電力をまかなえる容量を選ぶよう書いている。この記事では、食料の目安と同じ3日で計算する。1週間を見込むなら、下の計算の「3日」を「7日」に置き換えてほしい。

内閣府の「家庭における地震時等の停電対策について」は、停電は地震だけでなく、水害や豪雪、事故などでも一年中起こりうるとしている。そのうえで、家庭の停電への備えの例として次の4つを挙げている。

  • 冷蔵庫や電子レンジなどの家電が使えない状況を想定して、調理の手段を備える
  • エアコンなどの冷暖房が使えない状態でも、暖(涼)をとる手段を備える
  • 電力が要る家庭用医療機器などを使っている場合は、予備バッテリーや代わりの手段を備える
  • 停電で給水ポンプが止まるなどして起きる断水に備える

同じページによると、夜に地震で停電した場合に備えて、足元灯や懐中電灯などを準備していると答えた世帯は約43%(平成29年11月調査)だった。

3機種で「1日に使える量」を出す(ここからは筆者の計算)

Jackery の使える時間のページが案内している式は、次のとおりだ。

使える時間 = 容量(Wh)× 0.8 ÷ 家電の消費電力(W)

0.8 を掛けるのは、電力のロスが出て、入っている容量のすべてを家電で使えるわけではないから、とページには書かれている。この式で出る時間は理論上の参考値で、実際は使う環境や条件、機種で変わる、とも断っている。

この「容量 × 0.8」を3日で割ると、停電の3日間に1日あたり使える量が出る。容量の違う3機種で計算する。容量・定格出力・重さは各製品ページの記載で、製品ページはJackery の公式サイトから開ける。

機種(容量/定格出力/重さ) 使える量 3日で割ると(1日あたり)
240 New(256Wh/300W/約3.6kg) 256Wh × 0.8 = 204.8Wh 204.8Wh ÷ 3日 = 68.3Wh
500 New(512Wh/500W/5.7kg) 512Wh × 0.8 = 409.6Wh 409.6Wh ÷ 3日 = 136.5Wh
1000 New V3(1024Wh/1500W/約10.6kg) 1,024Wh × 0.8 = 819.2Wh 819.2Wh ÷ 3日 = 273.1Wh

停電の前に満充電になっていて、3日間どこからも充電できない、という前提の数字だ。ソーラーパネルなどで昼に充電できれば、その分は増える。反対に、しまっている間に残量が減っていれば、その分は減る(後の節で触れる)。Jackery の一部の製品で選べる「バッテリー保護モード」(充電を容量の85%までに抑える)を使っているなら、同じページのとおり、さらに0.85を掛ける。

1日分に、家電を当てはめる

製品ページの使用時間の例を、3日で割る

500 New の製品ページ(Jackery の公式サイトから開ける)のよくある質問には、1つの家電だけをつないだ場合の使用時間の例が載っている。それを3日で割ると、1日あたりの目安になる。

  • LED照明(10W):約21時間 → 21時間 ÷ 3 = 7時間
  • スマートフォン充電(18W):約24回 → 1日あたり8回
  • 電気毛布(55W):約7時間以上 → 7時間 ÷ 3 = 2.3時間
  • ミニ冷蔵庫(60W):約8.5時間 → 8.5時間 ÷ 3 = 2.8時間

240 New の製品ページのよくある質問にも、同じ形の例がある。

  • LED照明(5W):約21時間 → 21時間 ÷ 3 = 7時間
  • 扇風機(15W):約16時間 → 16時間 ÷ 3 = 5.3時間
  • 電気毛布(55W):約3.7時間 → 3.7時間 ÷ 3 = 1.2時間

どれも、その家電1つだけを使った場合の数字だ。照明もスマホも電気毛布も、となれば、1日分を分け合うことになる。また、どちらのページも、この使用時間の条件は書いていない。LED照明の行のように、上の式で計算した値より短く出ている行もある。反対に、扇風機(15W)の約16時間やミニ冷蔵庫(60W)の約8.5時間のように、式で計算した値(240 New は 204.8Wh ÷ 15W × 1時間 = 13.7時間、500 New は 409.6Wh ÷ 60W × 1時間 = 6.8時間)より長く出ている行もある。ぎりぎりの計算で決めず、短いほうの数字でも足りるかを見ておくほうが安心だ。

電気毛布を夜どれだけ使えるかは、製品ごとの消費電力で大きく変わる。詳しい計算はポータブル電源で電気毛布は何時間使える?で扱っている。

組み合わせて使うなら、Whで足し引きする

Jackery の容量の目安のページは、消費電力が60Wの扇風機を2時間使う場合を例に、60W × 2時間で120Whと計算している。500 New の1日分に当てはめると、136.5Wh − 120Wh = 16.5Wh。扇風機を2時間回すと、その日の残りは16.5Whになる。扇風機の消費電力は製品で違い、上で見た 240 New のページの例は15Wだった。手持ちの製品の数字で計算し直してほしい。

自分の家電で計算するときは、本体や取扱説明書にある定格消費電力を見る。Jackery の使える時間のページも、家電の本体に書かれた定格消費電力を確かめるよう勧めている。同時に使う家電があるなら、消費電力を合計してから式に当てはめる。

冷蔵庫・エアコン・調理家電は、容量と出力の両方で壁に当たる

Jackery の容量の目安のページは、冷蔵庫の一般的な消費電力を150W~500W程度とし、仮に500Wなら1時間の稼働だけでも容量は500Wh以上が要る、としている。エアコンは暖房で使うと最大1000~2000W程度になるものもあるとし、IH卓上コンロは1,000Wの例を挙げている。

ポータブル電源は、定格出力を超える家電は動かせない。240 New は300W、500 New は500Wなので、上に挙げた数字の家電は定格出力を超えるものが出てくる。1000 New V3 は定格出力1500Wだが、製品ページのよくある質問は、消費電力が1500W以内の機器なら使えるとしたうえで、冷蔵庫・電子レンジ・ドライヤー・電動工具など、起動時に大きな電力が要る機器は使えない場合がある、と書いている。

ここからは筆者の考えです。家の冷蔵庫やエアコンまでまかなう容量は、キャンプに持ち出す重さとは両立しにくい。兼用の1台には、照明・スマホ・扇風機や電気毛布あたりを受け持たせる。冷蔵庫やエアコンは受け持たせない前提で考え、調理は電気を使わない手段に回す。そう分けたほうが、計算が合いやすい。

家庭用の医療機器を使っている場合

内閣府の停電対策の資料は、家庭用医療機器などを使っている家庭に向けて、予備のバッテリーを用意し、停電したときにどう電源を切り替えるかも確かめておく必要がある、と書いている。1000 New V3 の製品ページは、停電時の自動切替(UPS)は0msの完全無停止ではないとして、医療機器などでの使用は推奨していない。医療機器の予備電源としてポータブル電源を考えているなら、この記事の計算で決めず、その機器のメーカーや、かかっている医療機関に確かめてほしい。

重さで折り合いをつける

容量を上げると、重さも増える。上の3機種では、約3.6kg、5.7kg、約10.6kgだ。

ここからは筆者の整理です。

  • 1人、キャンプは照明とスマホ中心……Jackery の防災の目安(1人 200Wh以上)とキャンプの目安(1~2人・調理家電なし 200~500Wh以上)の両方に、240 New の256Wh が入る。ただし1日分は68.3Whで、電気毛布の冬には心もとない
  • 2人、冬キャンプもする……防災の目安(2人 500Wh以上)に、500 New の512Wh が入る。容量の目安のページの「夫婦 600Wh以上」には届かない。電気毛布を使う冬の停電まで見込むなら、1つ上の容量も候補になる
  • 3~4人……防災の目安(3~4人以上 1,000Wh以上)に、1000 New V3 の1024Wh が入る。容量の目安のページの「2,000Wh以上」や、テレビや炊飯器も使う場合の「2,000Wh程度」まで上げると、キャンプに持ち出す重さは大きく増える

どの機種がいいかより先に、「キャンプの車に積んで、サイトまで運べる重さか」を決めておくと、上限が決まる。重くて持ち出さなくなれば、キャンプ用としては使われなくなる。

機種ごとの容量・定格出力・重さと、最新の価格は、Jackery の公式サイトで確かめられる。

Jackery公式サイトで容量と価格を見る

価格・在庫・仕様は、買う前に公式サイトで確かめてください。

兼用するなら、しまいっぱなしにしない

Jackery の使える時間のページは、ポータブル電源は自然放電が避けられず、満充電で保管しても電池の量は少しずつ減り続ける、としている。災害への備えやアウトドアのように、たまにしか使わない場合は、定期的に充電して減った分を補うこと、長く保管したものはすぐに使わず一度充電することを勧めている。一方で同じページは、満充電の状態で保存し続けることを、電池の劣化を早める使い方の1つにも挙げている。

ここからは筆者の読み方です。キャンプと兼用していると、出かける前に残量を見て充電する機会が、キャンプのたびに来る。防災専用で押し入れにしまい込むより、確かめる回数が増える。反対に、キャンプから帰ってきて残量が減ったまま戻すと、そのとき停電が来ても計算どおりには使えない。帰ったら充電して戻す、までを片付けに入れておきたい。

しまうときの残量や置き場所の考え方は、メーカーによって書いていることが違う。ポータブル電源の保管方法で比べている。

電気を使わない食事も、同じ棚に置く

停電中に調理まで電気でまかなおうとすると、上の計算のとおり、容量と出力の両方で苦しくなる。首相官邸のページは、非常食3日分の例として、ご飯(アルファ米など)・缶詰・干物・乾パンなどを挙げている。

アルファ米の1つ、アルファー食品の「安心米」は、メーカーのページによると、熱湯なら15分、水(約15℃)なら60分でできあがる。電気やガスがない非常事態には、水を注ぐだけで食べられるとしている。ごはんタイプの保存期間は5年間だ。お湯を沸かす電気を使わなくても食べられるので、ポータブル電源の1日分は照明やスマホに回せる。

キャンプ飯としての使い方と、キャンプで使い切れなかった分を家の備蓄に回すやり方は、アルファ米はキャンプ飯に使える?でまとめている。

安心米の商品と価格を見る

価格・内容量・保存期間は、買う前に販売ページで確かめてください。

まとめ:目安を並べてから、3日で割る

  • Jackery の使える時間のページの目安は、防災用が1人 200Wh以上・2人 500Wh以上・3~4人以上 1,000Wh以上。キャンプ用は1~2人・調理家電なしで200~500Wh以上。兼用なら大きいほうを下限にする
  • 同じ Jackery の容量の目安のページでは、一人暮らし 250Wh~300Wh・夫婦 600Wh以上・3~4人家族 2,000Wh以上と、数字が違う。前提の家電が違うので、自分の家電で確かめる
  • 「容量 × 0.8 ÷ 3日」で、停電の3日間に1日あたり使える量が出る。240 New で68.3Wh、500 New で136.5Wh、1000 New V3 で273.1Wh
  • 冷蔵庫・エアコン・調理家電は、容量と定格出力の両方で壁に当たりやすい。兼用の1台には照明・スマホなどを受け持たせ、食事は水でも戻せる非常食に回す手がある
  • 医療機器の予備電源として考えるなら、機器のメーカーや医療機関に確かめる
  • キャンプのたびに残量を確かめ、帰ったら充電して戻す

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2018年11月1日

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