焚き火台の錆びの落とし方|ステンレスでも錆びる条件と、部位ごとの手入れ

焚き火台の錆びの落とし方|ステンレスでも錆びる条件と、部位ごとの手入れ

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しまっておいた焚き火台を出したら、赤茶色の点が浮いていた。「ステンレスって錆びないんじゃなかったの?」と思ったなら、まず落ち着いてほしい。ステンレスでも条件がそろえば錆びることは、メーカー自身が取扱説明書に書いている。そして、錆びと変色は別の話だ。

この記事では、ステンレス協会の解説と、スノーピーク・ユニフレーム・VASTLANDが公開している説明をもとに、①錆びた場所の素材を確かめる ②ステンレスが錆びる条件を知る ③メーカーが示す手入れから落とす ④錆びさせない片付け、の順に整理する。焚き火台を買う前の選び方は焚き火台の選び方完全ガイド、鋳鉄のスキレットの錆びはスキレットのシーズニングと錆びの落とし方で扱っているので、ここでは使ったあとの焚き火台の話に絞るぞ。

目次

先に結論|落とし方は「どの部位の、何の素材か」で決まる

  • 焚き火台は1つの素材でできているとは限らない。ユニフレームのファイアグリルは、炉とロストルがステンレス鋼、スタンドと焼網が鉄にクロームメッキだと仕様に書いている(ユニフレーム公式)。
  • ステンレスでも錆びは出る。スノーピークは焚火台Lスターターセットの取扱説明書で、ステンレス材でも使い方の条件によってはサビが出ることがあると注意している(スノーピーク 取扱説明書・PDF)。
  • 洗い方・手入れは、まず自分の製品の説明書どおりに。スノーピークは焚火台Lを洗う道具として、柔らかいスポンジたわしなどを挙げている。研磨や薬剤で錆びを落とす方法はステンレス協会が建材向けに説明しているが、焚き火台については書いていない。
  • 塗装した焚き火台には、そのメーカーの案内がある。VASTLANDは自社の焚き火台に、金属たわしやクレンザーを使わないよう書いている(VASTLAND カスタマーサポート)。

まず、錆びた場所の素材を確かめる

「焚き火台が錆びた」と一口に言っても、錆びたのが炉なのか、脚なのか、網なのかで話が変わる。メーカーの仕様を見ると、部位ごとに素材を分けている製品がある。

  • ユニフレーム ファイアグリル:炉・ロストルはステンレス鋼。スタンドと焼網は鉄にクロームメッキ(製品ページ
  • スノーピーク 焚火台Lスターターセット:焚火台L本体はステンレス。一緒に入っているベースプレートはスチール、炭床Proは鋳鉄(取扱説明書
  • VASTLAND:焚き火台と焚き火テーブルの本体に耐熱塗料を塗っていると、手入れのページに書いている(手入れ・保管方法

同じスノーピークのセットでも、スチールのベースプレートについては、使っているうちにサビが出る場合があること、表面の塗装が耐熱ではなく変色したり剥がれたりする場合があることを、本体とは別の項目で断っている。自分の焚き火台のどこが何でできているか、製品ページか説明書で一度確かめておくと、このあとの手順を選び間違えない。

ステンレスが錆びる条件|ステンレス協会の解説から

ステンレス協会の説明では、ステンレス鋼はクロムを約10.5%以上含む鉄の合金で、表面が厚さ数nmの「不動態皮膜」に覆われている。この膜はひっかき傷などで一部が取れても、酸素があればすぐに元に戻る性質があり、これが錆びにくさの正体だ(ステンレスの耐食性と腐食現象について)。

ただし同じページは、置かれた環境によってはこの膜が壊れて腐食が起きるとも書いている。主な環境の要因として挙げているのは、酸の種類とpH、溶けている酸素の量、塩素などのハロゲン系の元素、温度などだ。

そのうえで主な腐食の形として、全面腐食、孔食とすき間腐食、粒界腐食、応力腐食割れ、異種金属接触腐食の5つを説明している。点状や虫食い状に進む「孔食」や、すき間で起きる「すき間腐食」は、塩素イオンなどのハロゲン系イオンを含む環境で起きる。「粒界腐食」は、溶接の熱が伝わった部分や、熱処理・高温での使用によっておよそ550〜900℃に熱せられた部分で、クロムと炭素が結びつくことで起きる腐食だという。

ステンレス協会は、これらを焚き火台で起きる現象として書いているわけではない。焚き火台の炉が実際に何℃になるかも、この記事では確かめていない。ただ、高温で使う道具に関係しうる項目として、粒界腐食もここに挙げておく。

「もらい錆び」は、鉄と一緒にしまったときに起きる

もうひとつ押さえておきたいのが、よそから錆びをもらうパターンだ。ステンレス協会は、ステンレスの流し台の上で、水道水に濡れた鉄くぎを一晩そのままにしておくと、くぎの形に赤さびが出ていることがある、という例を挙げている。電位の違う金属が水気のある状態で触れていると、鉄のほうの腐食が進むためだ(ステンレスと異種金属との接触についての問題点)。

調理器具メーカーの和平フレイズも、ステンレス鍋のコラムで、鉄やアルミなどに触れたまま放置すると、そちらに出た錆びがステンレスの表面にこびりつき、ステンレスそのものが錆びたように見えると説明している。塩分や酸を多く含んだ汚れをそのままにすること、湿気のこもる場所にしまっておくことも、腐食につながる原因に挙げている(和平フレイズ コラム)。

焚き火台に当てはめると、心当たりが出てくる場面がある。鉄の焼き網やペグと一緒に、湿ったまま収納袋へ入れる。肉を焼いて、塩を含んだ汁や脂が炉に落ちたままにする。どちらも、上の2つの説明が挙げている条件に近い。鍛造ペグのような鉄の道具そのものの錆び対策は、鍛造ペグの手入れの記事にまとめてある。

錆びの落とし方|まずメーカーの手入れ方法から

最初の基準は、自分の焚き火台の説明書だ。スノーピークは焚火台Lスターターセットの取扱説明書のメンテナンスの項で、焚火台Lとベースプレートを洗うときは柔らかいスポンジたわしなどを使い、洗ったあとは水気をよく拭いて、風通しのよい日陰で乾かすよう書いている(取扱説明書)。

ステンレス協会の手入れの説明は、建材向けの一般的なもの

ステンレス協会のQ&Aには、錆びの状態ごとの手入れが載っている。ただしこれはステンレス建材向けの一般的な説明で、焚き火台には触れていない(ステンレス建材の手入れ方法について)。内容はおおむね次のとおりだ。

  • 状態はケースごとに違うので、目立たない場所で、作用の弱い方法から強い方法へ順に試す
  • もらい錆びの出はじめのような、しみ程度の段階なら、表面はまったく、あるいはごくわずかしか傷んでおらず、初期の錆び向けの市販の清掃薬剤でほぼ元に戻せる
  • 放っておくと茶褐色の厚い錆びに変わるので、その前に手入れが必要。厚い錆びには、ひどい赤さびに対応した清掃薬剤を使い、それでも落ちなければサンドペーパーやステンレスのブラシである程度こすり取ってから薬剤を使う。この場合はこすり傷が付くのが避けられず、清掃のあとに研磨仕上げをもう一度施すといった手当てが必要になる

このうち薬剤や研磨を使う方法は、スノーピークが焚火台Lに示している手入れ(柔らかいスポンジたわしなど)の範囲を超える。焚き火台にこれを使ってよいかは、ステンレス協会もスノーピークも書いていない。試す前に、自分の焚き火台のメーカーに確かめてほしい。

薬剤を選ぶときに気にしておきたいこともある。上で見たとおり、ステンレス協会は孔食やすき間腐食が起きる環境として、塩素イオンなどのハロゲン系イオンを含む環境を挙げている。成分に塩素を含む薬剤を焚き火台に使ってよいかも、メーカーに確かめる項目に入れておくといい。

VASTLANDの塗装した焚き火台の場合

VASTLANDは、耐熱塗料を塗った自社の焚き火台について、たわしやブラシのうち金属製のもの、クレンザーのような研磨剤、シンナー・ベンジンといった有機溶剤を使わないよう書いている。塗料が剥がれたり表面に傷が付いたりすると、その部分から錆びや劣化が始まるおそれがあるからだ(VASTLAND カスタマーサポート)。

錆びてしまった場合についてVASTLANDが案内しているのは、歯ブラシに歯磨き粉かサビ取り剤を付け、塗装が剥がれて錆びた部分を細かくこする方法だ。塗装が残っている部分を傷つけないよう注意し、そのあとシーズニングをする。VASTLANDのいうシーズニングは、乾性油(例としてサラダ油を挙げている)を塗り、そのまま自然乾燥させるもので、塗装の剥がれを見つけたときは3回ほど繰り返し、使わない時期も半年に1回程度行うよう案内している。これはVASTLANDが自社製品について書いている方法で、ほかのメーカーの塗装品に当てはまるかは、それぞれの説明書で確かめてほしい。

同じ「錆びを落とす」でも、建材向けのステンレス協会、スノーピーク、VASTLANDで、使う道具はそれぞれ違う。だから最初に、自分の焚き火台の素材と説明書を確かめる必要がある。

スノーピークの鋳鉄の炭床Pro Lは、サビ止め処理までが手入れ

スノーピークの説明書は、鋳鉄製の炭床Pro Lについて、ステンレスの本体とは別の手入れを書いている。サビ止め塗装はしてあるが使ううちに剥がれるので、使用後は水分と汚れを落として乾かし、サビ止めスプレーなどでサビ止めの処理をすること。長く使わずに表面へ薄いサビが出たときは、柔らかいスポンジたわしなどで表面の赤い錆びをこすり落としてから使うこと。密閉性の高い収納ケースに長期間入れておくと、結露などでサビの原因になること(取扱説明書)。

錆びさせない片付け|メーカーの説明を並べる

ここからは、錆びを出さないための片付けだ。スノーピークとVASTLANDの説明で共通している点と、それぞれが書いている点を並べておく。

  • 冷めてから片付ける。水をかけて冷まさない。スノーピークは、片付けは本体が冷めたのを確かめてから行い、緊急時以外は水をかけるなどの急な温度変化を与えないよう書いている。変形や破損の原因になるためだ。VASTLANDも、熱いうちに水をかけて消火すると、急な温度変化で変形したり、出てきた水蒸気でやけどしたりするおそれがあるとしている。
  • 煤は乾いた布で拭く。VASTLANDは、柔らかい布でのから拭きを基本に、汚れが気になるときは水や中性洗剤を含ませて固く絞った布で拭くよう案内している。スノーピークは焚火台とベースプレートを洗う道具として、柔らかいスポンジのたわしなどを挙げている。
  • 水気を残さず、風通しのよい日陰で乾かす。両社とも書いている。VASTLANDは、水気や湿気を残して置いておくと錆びる心配があると書いている。
  • 高温多湿の場所に置かない。スノーピークは通気性のよい場所での保管を、VASTLANDは屋内での保管を案内している。VASTLANDは、手入れのあとすぐに使わないときは新聞紙に包んで保管することも勧めている。
  • 鉄の道具と濡れたまま触れさせない。これはメーカーの手入れの説明ではなく、上で見たステンレス協会と和平フレイズのもらい錆びの説明から、この記事が当てはめたものだ。鉄の焼き網やペグとは、乾かしてから別々にしまうと条件を避けられる。

変色や歪みは、錆びとは別に考える

焚き火台の炉が茶色や青っぽく色づいてきたり、少し反ってきたりすることもある。スノーピークは焚火台Lスターターセットの説明書で、焚火台Lについて、使っていくと本体に変色や若干の歪みが出るが、品質に支障はないと書いている(取扱説明書)。VASTLANDも、何度も使ううちに色が変わっていくことに触れている。

ただし、同じスノーピークの説明書は、使う前に製品を点検して異常があれば使用をやめ、販売店かユーザーサービスに点検や修理を頼むこと、長く使っていなかった製品を再び使うときも点検を依頼すること、とも書いている。「若干の」歪みと、脚がガタつく・組み上がらないといった異常は分けて考え、判断に迷ったらメーカーに相談してほしい。

ユニフレームのファイアグリルは、熱膨張による変形を防ぐために炉の四隅にすき間を設けていると製品ページで説明している(ユニフレーム公式)。熱で金属が動くことを前提に作られている道具だ、ということは覚えておいていい。

まとめ

  • 錆びた部位の素材を、製品ページか説明書で確かめる。ステンレス・鉄のメッキ・スチールの塗装・鋳鉄で手入れが変わる
  • ステンレスは不動態皮膜で錆びにくいが、塩素などを含む環境や、鉄と濡れたまま触れた状態では錆びが出る。ステンレス協会は高温で起きる粒界腐食も腐食の形に挙げている
  • 洗い方・手入れは、まず説明書どおりに(スノーピークは焚火台Lを洗う道具として柔らかいスポンジたわしなどを挙げている)。研磨や薬剤で錆びを落とす方法はステンレス協会の建材向けの説明にあるが、スノーピークが焚火台Lに示す手入れの範囲を超えるので、試す前にメーカーに確かめる
  • VASTLANDは自社の塗装した焚き火台に、研磨剤を使わず、錆びた箇所を歯ブラシで細かくこすってシーズニングするよう案内している
  • 片付けは冷めてから。水で冷まさず、乾かして、高温多湿を避けた場所にしまう
  • 使ううちの変色や若干の歪みは、スノーピークは品質に支障なしとしている。ガタつきなどの異常は点検を頼む

焚き火のシーズンが始まる前に、しまってあった焚き火台を一度出して、どの部位が何でできているかを見ておいてくれ。錆びは、早く見つけて説明書どおりに手入れするのがいちばん無理がない。

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2018年11月1日

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